キモくて金のないおっさん

「キモくて金のないおっさん」という言葉は、容姿が優れず、低収入の中年男性を指すネットスラングとして、2015年頃から広まりました。しばしば「KKO」や「キモカネ」と略されます。しかし、現在ではこの表現自体が差別的であるという認識が広まり、「弱者男性」という言葉で言い換えられる傾向にあります。

社会的背景

ジャーナリストの奥田祥子氏は、バブル崩壊後の就職氷河期世代が正規雇用に就けず、リストラ、未婚、老親介護といった問題に直面している現状を指摘しています。同様の問題は女性にも起こり得ますが、女性の場合は「家事手伝い」という言葉で表現されることが多いです。

佐々木俊尚氏は、弱者間での「弱者トーナメント」の存在を指摘し、「キモくて金のないおっさん」をその最弱者と位置づけています。問題の複雑さは、弱者が必ずしも善人ではないという点にあります。そのため、弱者男性に寄り添う人であっても、「心の綺麗なキモくて金のないおっさんしか助けたくない」という心理になることがあると指摘します。

「キモいおっさん」の多様性

「キモいおっさん」という枠組みの中にも、広河隆一氏のように経済力を持つ者や、「キモくて権力のあるおっさん」が存在します。「キモくて金のないおっさん（弱者男性）」からの連絡は無視されることが多いのに対し、権力のある「キモいおっさん」からの連絡は無視できないという現実があります。

関連する問題

「キモくて金のないおっさん」という言葉は、外見や経済力に基づいた差別を助長する可能性があります。また、自己責任論に偏り、社会構造的な問題を見過ごす危険性も孕んでいます。弱者男性問題は、貧困、孤立、ジェンダーといった複数の要因が複雑に絡み合っており、包括的な対策が必要です。

関連項目

弱者男性
無敵の人 - 社会的地位や財産を失うことを恐れず、犯罪に手を染める可能性のある人々。
子供部屋おじさん - 成人後も実家の子供部屋で暮らす中年男性。
インセル - 性的欲求不満を女性のせいにし、憎悪を抱く男性グループ。
孤独死
メンズリブ - 男らしさからの解放を求める運動。

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