キャサリン・ポラスキー

『新スタートレック』シリーズにおいて、U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Dの主任医療士官として、短期間ながらも鮮烈な印象を残したキャラクターが、キャサリン・ポラスキー医師です。彼女は、ビバリー・クラッシャー医師が惑星連邦本部の医療統括部長を務めることになった2365年、その後任としてエンタープライズに着任しました。演じたのはダイアナ・マルドアで、日本語版の吹き替えは谷育子が担当しています。

ポラスキー医師が登場するのは、シリーズ全体を通じて第2シーズンのみです。これは、演者のダイアナ・マルドアがレギュラー契約ではなく、各エピソードごとのゲスト扱いでの出演であったためです。マルドア自身は、『宇宙大作戦』シリーズにも過去に二度ゲスト出演した経験を持っていました。

医師としてのポラスキーの能力は極めて高く評価されています。特に、ピカード艦長が第515宇宙基地で緊急の心臓手術を受けることになった際、困難な状況下で「彼女しかいない」と呼び出され、見事に手術を成功させたことは特筆されます。また、脳の記憶に関する治療や操作においても高度な技術を持ち、その医療手腕は前任のビバリー・クラッシャー医師と比較され、場合によってはそれをも凌ぐとも評されるほどでした。

一方で、ポラスキー医師は非常に個性的な人物でもありました。彼女は空間転送技術を極度に嫌悪し、その利用に強い抵抗感を示す場面がしばしば見られました。また、データ少佐のようなアンドロイドに対して、時に無礼ともとれる発言をしたり、彼を人間と同等に扱わないような態度をとることもありました。その反面、クリンゴン文化、特に文学や作法といった分野には深い造詣を持っており、この点では他のクルーとは異なる一面を見せています。

人間関係においては、副長ウィリアム・T・ライカーの父、カイル・ライカーとは古い友人であり、過去には恋愛関係にあったことも示唆されています。また、ピカード艦長に対しては強い敬意と信奉心を抱いており、彼女自身が強く希望してエンタープライズへの転属が決まったという経緯があります。当初、ピカード艦長はそのあまりに強い個性から、彼女がクルーと馴染めるかを懸念し、以前の艦の艦長に相談を持ちかけていたほどですが、彼女の熱意を知って見守ることに方針を転換しました。

彼女が登場するエピソードの中でも印象深いものとして、遺伝子を組み換えた子供が発する免疫用の抗体によって急速に老化が進み、命の危機に瀕した一件があります。この時、彼女はクルーたちの必死の努力によって救われますが、その治療過程では、皮肉にも彼女が最も嫌悪する空間転送技術が用いられることになりました。この経験を経て、彼女の転送技術に対する見方が多少なりとも変化した可能性も示唆されています。

第2シーズン終了後、ポラスキー医師はエンタープライズを離れ、以降のシリーズで直接登場することはありませんでした。その後のシーズンでは、時折セリフの中でその名が言及される程度に留まります。主任医療士官としての期間は短かったものの、キャサリン・ポラスキー医師は、その卓越した医療技術と個性的な人物像によって、『新スタートレック』のファンに強い印象を残したキャラクターと言えるでしょう。

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