キャデラック・DTS

キャデラック・ドゥビルDTS：高級セダンの系譜と歴史

キャデラック・ドゥビルDTSは、ゼネラルモーターズ（GM）が製造し、キャデラックブランドから販売された高級セダンです。その歴史と特徴、そして後継車種との関係性について詳細に見ていきましょう。

エンジンとトランスミッション、駆動方式

DTSの心臓部は、4.6LのV型8気筒ノーススターエンジンです。スムーズな走りを実現するこのエンジンには、4速ハイドラマチックトランスミッションが組み合わされ、力強い加速と快適な走行を両立させていました。トランスミッションはフロアタイプが標準でしたが、オプションでコラムタイプも選択可能でした。ただし、コラムタイプは2009年で廃止されています。駆動方式は、FF（前輪駆動）を採用していました。

グレードバリエーションと個性

DTSは、標準グレードに加え、「ラグジュアリー」、「パフォーマンス」、「プラチナム」の3つの上級グレードが用意されていました。それぞれのグレードでエンジンチューニングが異なり、標準車とラグジュアリーは出力重視、パフォーマンスグレードでは出力とトルクの両方を向上させていました。プラチナムグレードは、標準車またはパフォーマンスグレードのエンジンを選択可能でした。これらのバリエーションにより、ユーザーは自分の好みに最適な一台を選ぶことができました。

発売から販売終了まで

DTSは、2005年1月20日、ジョージ・W・ブッシュ大統領の就任式で専用車として初公開され、大きな注目を集めました。同年2月9日のシカゴオートショーで生産モデルが発表され、GM Kプラットフォームを採用したことが明らかになりました。2006年には、GMのフラッグシップモデルとして、ドゥビルDHSの後継車として発売。アメリカ、カナダ、中近東、そして日本でも販売が開始されました。日本では標準グレードをベースに、ナビゲーションシステムなどを装備したモデルが発売されました。トランスミッションは、当初コラム式でしたが、後にフロア式に変更されています。

最上位グレードであるプラチナムは、2008年1月にエンジン出力の向上版が登場しましたが、2009年モデルをもって販売終了となりました。これは北米地域でも同様で、2010年以降に登場するSTSとの統合モデルの発売を待つためでした。これにより、デビル、セビル、エルドラドから続くキャデラックのFFサルーンの歴史は一旦幕を閉じました。しかし、2012年にはDTSとSTSを統合したXTSが登場し、その伝統は受け継がれています。

特注モデルとサービス

2007年には、ヤナセグローバルモーターズがDTSのリムジンモデルを特注で導入しました。FFベースのリムジンとしては、三菱ディグニティ（初代）以来の登場となり、話題を呼びました。ただし、この特注モデルはGMアジア・バシフィク・ジャパンの保証制度の対象外でした。

DTSの名前の由来と後継車

「DTS」は、「DeVille Touring Sedan」の略です。後継車種は、キャデラックXTSです。XTSはDTSとSTSの統合車種として開発され、キャデラックの高級セダンとしての伝統を受け継いでいます。

まとめ

キャデラック・ドゥビルDTSは、力強いエンジン、洗練されたデザイン、そして多様なグレードバリエーションを備えた高級セダンとして、多くのユーザーを魅了しました。その歴史は、キャデラックブランドの伝統と進化を象徴するものであり、後継車XTSへと受け継がれる、重要なモデルと言えるでしょう。

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