キャデラック・SRX
SRX（エスアールエックス）は、ゼネラルモーターズ（GM）がキャデラックブランドで展開した自動車です。主にラグジュアリーSUVまたはクロスオーバーとして位置づけられ、2003年から2016年まで2世代にわたり製造・販売されました。
SRXの原型は、2001年のデトロイトショーで披露されたコンセプトカー「VIZON（ヴィゾン）」に遡ります。初代モデルはこのVIZONのデザイン思想を受け継ぎ、2003年のデトロイトショーで初公開されました。続く第2世代も2009年のデトロイトショーで発表されています。
初代SRXは、北米では2003年に発表・発売され、日本では翌2004年から市場に投入されました。キャデラックSTSにも用いられたFRベースの「シグマ・アーキテクチャ」プラットフォームを土台とし、AWDシステムを組み合わせた高級SUVとして登場。キャデラックのSUVラインアップにおいては、フラッグシップモデルであるエスカレードの下位に位置づけられました。外観デザインは、キャデラックが提唱する「アート&サイエンス」に基づいた直線的なラインが特徴で、同時に洗練された高級感を醸し出していました。
パワートレインには、初期モデルでは新世代のノーススター4.6L V8エンジン（5速ATとの組み合わせ）が採用されましたが、2005年モデルで3.6L V6エンジンが追加され、選択肢が増えました。安全性能も重視されており、横滑り防止機構である「スタビリトラック」や「マグネティック・ライド・コントロール」、トラクションコントロールシステム付きABSなどが装備されています。室内は3列シートを備え7名乗車が可能でした。シートアレンジにより室内をフルフラットにできるほか、3列目シートには電動格納機能が採用されるなど、高い利便性が考慮されていました。
この世代では、年次改良が比較的頻繁に行われました。2005年モデルではV6エンジンの追加、2006年モデルではパワーリフトゲートの装備、2008年モデルでは日本市場向けに右ハンドル仕様が設定されたほか、4.6LモデルのATが6速に変更され、インテリアデザインも刷新されています。2009年モデルでは、ラインアップが左ハンドルの3.6L車のみとなり、BOSEサウンドシステムなどが標準装備に追加されました。
日本では「SRXクロスオーバー」の車名で販売された第2世代は、初代のFRベースからGMCテレインなどと共有するFFベースの「GMシータプラットフォーム」へとアーキテクチャが変更されました。これに伴い、ボディサイズや室内空間も見直され、3列目シートは廃止され2列5人乗りとなりました。
駆動方式においては、新開発の四輪駆動システムが用意されました。これはハルデックス製の湿式多板クラッチを採用し、走行状況に応じて前100：後0から前0：後100まで、自在に前後間の駆動力を配分する仕組みとなりました。さらに、後輪には電子制御リミテッドスリップデフ（eLSD）が搭載され、左右輪間での駆動力制御も可能となっています。サスペンション形式は、リアは先代と同じマルチリンクですが、フロントはダブルウィッシュボーンからマクファーソンストラットに変更されました。グレードによっては、スポーツサスペンションや電子制御式のリアルタイムダンピングショックアブソーバーも選択可能でした。
北米では2009年から発売され、日本市場へは翌2010年8月26日に発表されました（日本仕様は左ハンドルのみの設定）。エンジンは、北米初期モデルに2.8L V6ターボがありましたが、日本仕様にはCTSにも搭載された直噴3.0L V6エンジンのみが導入されました。このエンジンは最高出力269PS、最大トルク30.8kgmを発生し、使用燃料が従来のハイオクからレギュラーガソリン対応となったことで、経済性も向上しています。トランスミッションは全モデルでマニュアルモード付きの6速ATが組み合わされました。
安全装備は先代から引き続き充実しており、デュアルステージフロントエアバッグ、サイド/ヘッドカーテンエアバッグ、トラクションコントロール、スタビリトラックなどが標準装備されました。快適装備としては、ポップアップ式のHDDナビゲーションシステムや10スピーカー構成のBOSEサラウンドサウンドシステムなども用意されています。
2012年4月には、ニューヨーク国際オートショーでフェイスリフトを受けた2013年モデルが発表されました。外観ではフロントグリルが一新され、オプションで20インチアルミホイールが設定されるなどデザインが変更されたほか、新しいボディカラーも追加されました。内装も改良され、キャデラックの新しいインフォテインメントシステム「CUE（Cadillac User Experience）」が標準装備された点が特筆されます。CUEは8インチの液晶タッチスクリーンを備え、スマートフォンのようにスワイプやピンチといった直感的なジェスチャー操作に対応しました。さらに、アクティブノイズキャンセレーションシステムが装備され、室内の静粛性が向上しています。
SRXは2016年をもって生産を終了し、その後継モデルとしてキャデラックXT5が登場しました。
概要
SRXの原型は、2001年のデトロイトショーで披露されたコンセプトカー「VIZON（ヴィゾン）」に遡ります。初代モデルはこのVIZONのデザイン思想を受け継ぎ、2003年のデトロイトショーで初公開されました。続く第2世代も2009年のデトロイトショーで発表されています。
初代 (2003-2010年)
初代SRXは、北米では2003年に発表・発売され、日本では翌2004年から市場に投入されました。キャデラックSTSにも用いられたFRベースの「シグマ・アーキテクチャ」プラットフォームを土台とし、AWDシステムを組み合わせた高級SUVとして登場。キャデラックのSUVラインアップにおいては、フラッグシップモデルであるエスカレードの下位に位置づけられました。外観デザインは、キャデラックが提唱する「アート&サイエンス」に基づいた直線的なラインが特徴で、同時に洗練された高級感を醸し出していました。
パワートレインには、初期モデルでは新世代のノーススター4.6L V8エンジン（5速ATとの組み合わせ）が採用されましたが、2005年モデルで3.6L V6エンジンが追加され、選択肢が増えました。安全性能も重視されており、横滑り防止機構である「スタビリトラック」や「マグネティック・ライド・コントロール」、トラクションコントロールシステム付きABSなどが装備されています。室内は3列シートを備え7名乗車が可能でした。シートアレンジにより室内をフルフラットにできるほか、3列目シートには電動格納機能が採用されるなど、高い利便性が考慮されていました。
この世代では、年次改良が比較的頻繁に行われました。2005年モデルではV6エンジンの追加、2006年モデルではパワーリフトゲートの装備、2008年モデルでは日本市場向けに右ハンドル仕様が設定されたほか、4.6LモデルのATが6速に変更され、インテリアデザインも刷新されています。2009年モデルでは、ラインアップが左ハンドルの3.6L車のみとなり、BOSEサウンドシステムなどが標準装備に追加されました。
2代目 (2010-2016年)
日本では「SRXクロスオーバー」の車名で販売された第2世代は、初代のFRベースからGMCテレインなどと共有するFFベースの「GMシータプラットフォーム」へとアーキテクチャが変更されました。これに伴い、ボディサイズや室内空間も見直され、3列目シートは廃止され2列5人乗りとなりました。
駆動方式においては、新開発の四輪駆動システムが用意されました。これはハルデックス製の湿式多板クラッチを採用し、走行状況に応じて前100：後0から前0：後100まで、自在に前後間の駆動力を配分する仕組みとなりました。さらに、後輪には電子制御リミテッドスリップデフ（eLSD）が搭載され、左右輪間での駆動力制御も可能となっています。サスペンション形式は、リアは先代と同じマルチリンクですが、フロントはダブルウィッシュボーンからマクファーソンストラットに変更されました。グレードによっては、スポーツサスペンションや電子制御式のリアルタイムダンピングショックアブソーバーも選択可能でした。
北米では2009年から発売され、日本市場へは翌2010年8月26日に発表されました（日本仕様は左ハンドルのみの設定）。エンジンは、北米初期モデルに2.8L V6ターボがありましたが、日本仕様にはCTSにも搭載された直噴3.0L V6エンジンのみが導入されました。このエンジンは最高出力269PS、最大トルク30.8kgmを発生し、使用燃料が従来のハイオクからレギュラーガソリン対応となったことで、経済性も向上しています。トランスミッションは全モデルでマニュアルモード付きの6速ATが組み合わされました。
安全装備は先代から引き続き充実しており、デュアルステージフロントエアバッグ、サイド/ヘッドカーテンエアバッグ、トラクションコントロール、スタビリトラックなどが標準装備されました。快適装備としては、ポップアップ式のHDDナビゲーションシステムや10スピーカー構成のBOSEサラウンドサウンドシステムなども用意されています。
2012年4月には、ニューヨーク国際オートショーでフェイスリフトを受けた2013年モデルが発表されました。外観ではフロントグリルが一新され、オプションで20インチアルミホイールが設定されるなどデザインが変更されたほか、新しいボディカラーも追加されました。内装も改良され、キャデラックの新しいインフォテインメントシステム「CUE（Cadillac User Experience）」が標準装備された点が特筆されます。CUEは8インチの液晶タッチスクリーンを備え、スマートフォンのようにスワイプやピンチといった直感的なジェスチャー操作に対応しました。さらに、アクティブノイズキャンセレーションシステムが装備され、室内の静粛性が向上しています。
SRXは2016年をもって生産を終了し、その後継モデルとしてキャデラックXT5が登場しました。
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