キャノン機関

キャノン機関とは

キャノン機関（キャノンきかん）は、主にGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）占領下の日本で活動していた秘密情報機関で、GHQ参謀第2部（G2）直轄の組織でした。この機関は、アメリカ陸軍のキャノン少佐の名に由来していますが、当時のGHQ内では正式にはこの名称は用いられておらず、後に日本のメディアによって呼ばれるようになりました。一般的にはZ機関や本郷機関とも称されています。

機関の背景と設立

第二次世界大戦が終結した後、キャノンはGHQの情報部門であるG2に情報将校として参加しました。彼の有能さが認められたことから、G2のトップであったチャールズ・ウィロビー少将の指導の下、1949年にキャノン少佐が指揮を執る秘密組織が設立されました。キャノン機関の本部は旧岩崎邸の本郷に構えられ、彼は26人から成るメンバーを編成しました。

そのメンバーの中でも特に目を引くのは、韓国系アメリカ軍人の延禎（ヨンヤン）少佐で、彼は大韓民国海軍に参加した背景を持ち、キャノンの右腕として活動しました。日本人工作員は元軍人を中心に採用され、戦犯免除の見返りに協力を求められるケースもありました。

活動内容

当時、冷戦が始まりアメリカとソ連の対立が顕著化する中、朝鮮半島における緊張も増していく状況でした。キャノン機関は主に北朝鮮に関する情報を収集し、ソ連のスパイを摘発するために活動を行いました。また、民政局と政争を繰り広げつつ、日本の共産主義勢力を弱体化させるためにその影響力を振るいました。これにより、キャノン機関は、GHQの占領政策において重要な役割を担いました。

鹿地事件とその影響

1951年、キャノン機関は著名な作家鹿地亘をソ連のスパイとして疑い、拉致監禁する事件が発生しました。キャノン機関は鹿地に対してアメリカの二重スパイになるよう要求しましたが、事件に関してその詳細は不明なままでした。この件は1952年にキャノンが解任されて帰国した後、明らかになりました。鹿地事件はキャノン機関の名を世に広めるきっかけとなり、その後、1949年に発生した国鉄三大ミステリー事件への関与も疑われるようになりました。

しかし、鹿地事件の失敗が原因でキャノン機関は解散に追い込まれ、キャノン自身もCIAに転職した後、憲兵学校の教官に就任しました。

最後の年

キャノンはその後、実業家としても活動し、自宅ガレージで高威力の対人弾薬を開発するなどの事業に従事しましたが、1981年にはテキサス州の自宅で胸に銃弾を受けた状態で発見され、死因は自殺か他殺か不明のままとなりました。享年66歳でした。

関連資料

キャノン機関に関して知りたい方は、松本清張の『日本の黒い霧』や、畠山清行の『キャノン機関』など、さまざまな書籍が存在します。また、鹿地事件は日本の戦後史における重要な一幕として、多くのメディアや文学作品で取り扱われています。

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