キャバリエ巡航戦車

Mk.VII キャバリエ巡航戦車：期待外れの戦車

第二次世界大戦下、[イギリス]]軍はクルセーダー巡航戦車の後継として新型戦車の開発を急いでいました。その結果誕生したのが、Mk.VII キャバリエ巡航戦車]です。しかし、この[[戦車は搭載エンジンの問題により、期待された性能を発揮することができませんでした。本稿では、キャバリエの開発経緯、性能、そしてその運命について詳細に解説します。

開発の経緯：妥協の産物

1940年末、イギリス軍需省は新型巡航戦車の開発をナッフィールド社に発注しました。ナッフィールド社は当初、クルセーダーの改良型を提案していましたが、レイランド社の新型エンジンを搭載したA27案が優勢と見なされていました。しかし、レイランド社のロールスロイス・ミーティアエンジンの実用化が遅れたため、計画変更を余儀なくされます。

最終的に、キャバリエは従来型のリバティーエンジンを搭載することになりました。これは、ナッフィールド社が自社製のエンジンに固執した結果です。410馬力のリバティーエンジンはクルセーダーの340馬力型より強力でしたが、車体の重量増加を補うには力不足でした。その結果、キャバリエは巡航戦車としては異例の低速性能という欠点を持つことになってしまいました。

性能と運用：期待を裏切る低速

1942年1月に試作車が完成したキャバリエは、その性能不足により、当初期待された役割を果たすことができませんでした。生産された車両は、主に訓練用や補助車両として使用されました。実戦投入されたのは、砲兵観測車に改造された車両の一部のみです。ミーティアエンジンを搭載したA27M クロムウェル巡航戦車が実用化されると、キャバリエの低速性はさらに際立つこととなり、その影は薄くなっていきました。

派生型：砲兵観測車と回収戦車

キャバリエにはいくつかの派生型が存在します。

キャバリエ OP: 1943年に製造された砲兵観測車です。主砲は模造品に交換され、空いた空間には無線機が搭載されました。
キャバリエ回収戦車: 砲塔を取り除き、Aフレームと牽引装置を追加した回収戦車です。戦場で故障した戦車を回収する役割を担いました。

戦後のキャバリエ：フランスへの供与

1945年、12輌のキャバリエがフランス陸軍に供与されました。これらの車両は、フランス軍での運用実績はほとんど残されておらず、その詳細な活動内容は不明瞭なままです。

まとめ：低速ゆえに影の薄かった戦車

Mk.VII キャバリエは、搭載エンジンの問題という開発上の制約から、期待された性能を発揮することができませんでした。その結果、実戦での活躍は限定的なものとなり、巡航戦車としては不成功作と言えるでしょう。しかし、その開発経緯や派生型、そして戦後のフランス軍での運用など、キャバリエは戦史における一つの教訓として、研究される価値を持つと言えるでしょう。エンジンの選定ミスが、戦車の性能を大きく左右することを示す、一つの事例と言えるでしょう。

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