キャブ・ユニット

キャブ・ユニット：箱型車体と運転室が一体となった機関車

キャブ・ユニットとは、機関車の設計様式の一つであり、箱型の車体に運転室が一体となった構造を指します。このタイプの機関車は、しばしば運転台を持たない同型の機関車と連結して運用されます。このような複数の機関車の連結編成は、カーボディ・ユニットと呼ばれ、運転台のある機関車がAユニット、ない機関車がBユニットと分類されます。キャブ・ユニットは、このAユニットに相当します。

構造と特徴

キャブ・ユニットは、ブリッジトラス構造の一体型ボディを持ち、車体自体が強度を担保する設計です。車体は車幅と車長いっぱいに広がり、運転席から後方の視界は非常に限定されます。そのため、後方確認がさほど重要でない場面での使用が適していました。ただし、点検作業のための通路は車内に設けられています。

空力特性においては、フード・ユニットに比べて優れており、流線型の列車であるストリームライナーの牽引機として多く採用されました。このことは、高速運転や省エネルギーといった点で大きなメリットをもたらしました。

キャブ・ユニットとカウル・ユニット

近年、機関車メーカーは、車幅いっぱいの本線用機関車を製造する際に、キャブ・ユニットではなくカウル・ユニットを採用する傾向にあります。カウル・ユニットは、フード・ユニットをベースに外装を車幅いっぱいに拡張したもので、キャブ・ユニットとは異なり、台枠のみが強度を支える構造となっています。

各国の例：イギリスと日本

イギリス国鉄37形ディーゼル機関車は、キャブ・ユニットの代表例として挙げられますが、イギリスにおいては「キャブ・ユニット」という呼称は一般的ではありません。この機関車の特徴として、両端に運転台が設けられている点が挙げられます。

日本においては、DF50形、DD54形、DF200形などが、キャブ・ユニットの原義に相当する機関車として挙げられます。これらの機関車もまた、イギリスの例と同様に、両端に運転台を備えています。

まとめ

キャブ・ユニットは、その独特の構造と特性から、運用環境や時代の技術水準を反映した機関車設計と言えるでしょう。後方視界の制約がある一方、空力性能に優れるなど、メリットとデメリットを併せ持つ機関車タイプとして、鉄道の歴史において重要な役割を果たしてきました。 現在では、カウルユニットといった新たな設計が主流となりつつありますが、キャブ・ユニットの設計思想は、現代の機関車設計にも少なからず影響を与え続けていると考えられます。

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