キャリック伯爵 (スコットランド貴族)

キャリック伯爵とは

キャリック伯爵は、スコットランド王国、そして後のイギリス（連合王国）において存在した伯爵位です。その起源は、スコットランド南西部の土地、キャリックに由来します。

歴史

13世紀末のダンケルド朝の断絶後、スコットランド王国は国王不在の時代を迎えました。しかし、イングランド王エドワード1世の遠征軍との戦いは、前王朝の血を引くロバート・ブルースらの指揮によって続けられました。1306年、ロバートはスコットランド王として即位し、ブルース朝を開きます。この時、彼は即位前に母からキャリック伯爵位を相続しており、王位と伯爵位が統合されることとなりました。

当初、キャリック伯爵位は世襲的なものではなく、国王の近親の男性王族がその都度任命され、その者の即位や死去に伴い王室領に戻るという形態でした。ステュアート家が王位を継承した後も同様でしたが、ジェームズ3世の時代以降、国王の長子が相続するという慣習が確立しました。イングランドとの同君連合成立後もこの慣習は継続され、現在に至っています。

もう一つのキャリック伯爵

上記の系統とは別に、1628年、チャールズ1世によって別のキャリック伯爵位が創設され、ジョン・ステュアートに叙爵されました。ジョンはすでに1607年にスコットランド貴族としてKincleven卿となっていました。彼は、スコットランド王ジェームズ5世の庶子である初代オークニー伯ロバート・ステュアートの三男であり、チャールズ1世の叔従父にあたります。

この爵位は、王位継承者が保持するエアシャー地方のキャリック伯爵領と競合しないように配慮され、オークニー諸島のエディ島を所領としました。

ジョンは、初代ノッティンガム伯チャールズ・ハワードの娘で、Sir Robert Southwellの未亡人であったエリザベスと結婚し、娘マーガレットをもうけました。彼には他に息子ヘンリーと娘がいたことが知られていますが、嫡出の男子がいなかったため、彼の死によってこのキャリック伯爵位は一代限りで断絶しました。

このように、キャリック伯爵には、王位と深く結びついた歴史を持つ爵位と、短期間のみ存在した別の爵位の二つの流れが存在します。それぞれの成立背景や人物像を知ることで、スコットランドの歴史への理解を深めることができるでしょう。

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