キャロットブランカ

『キャロットブランカ』は、アメリカの老舗アニメーションスタジオ、ワーナー・ブラザースが贈るルーニー・テューンズシリーズの短編アニメーション作品です。1995年8月25日に公開され、映画史に残る名作『カサブランカ』をコミカルにアレンジした、パロディ作品として知られています。

物語の舞台は、19世紀中頃のアメリカ。賑やかなカフェ「カフェ・オ・レ・アメリカン」を舞台に、個性豊かなルーニー・テューンズのキャラクターたちが織りなす、笑いとロマンス、そしてハラハラドキドキの冒険が展開します。

物語は、カフェに現れたカナリヤのトゥイーティーが、マスターであるバッグス・バニーに奇妙な依頼を持ちかけることから始まります。それは、アメリカの国民生活を向上させる人物に届けるべき、極秘文書の預かりでした。バッグスは当初、依頼を断ろうとしますが、その人物が美人と一緒だと聞き、俄然やる気を出します。

しかし、その文書はドイツ軍科学者から盗まれた機密文書であり、カフェにはドイツ軍の冷酷な軍曹、「地獄の将軍」ことヨセミテ・サムが現れ、バッグスを執拗に尋問します。バッグスは持ち前の機転とユーモラスな行動で、サムの尋問を巧みにかわしていきます。

そして、バッグスが機密文書を託すべき人物、シルベスターと対面します。しかし、シルベスターと一緒にいた美人は、なんとバッグスのかつての恋人であり、突然姿を消したキティ（ペネロッピー）だったのです。

運命の再会を果たしたのも束の間、シルベスターは機密文書窃盗の容疑で逮捕されてしまいます。キティは涙ながらにバッグスに助けを求め、バッグスは再び彼女の頼みを断ることができません。

かくして、バッグスは持ち前の知略と行動力で、サムを牢獄に閉じ込め、シルベスターを救出することに成功します。

その後、キティは飛行機で旅立ち、バッグスに別れを告げようとしますが、そこにペペ・ル・ピューが現れ、騒動の最中にキティは飛行機から落ちてしまいます。しかし、心配したバッグスが彼女をキャッチし、二人は再び出会うことになります。

そして、バッグスはキティにこう告げるのです。「君の瞳に乾杯」。

この作品には、映画『カサブランカ』を彷彿とさせる数々の名台詞やシーンが散りばめられています。「君の瞳に乾杯」「君だったんだ、探していたのは…」「世界に星の数ほど店はあるのに、彼女は俺の店にやってきた」「あれを弾いて」など、原典へのオマージュが随所に感じられます。

さらに、ルーニー・テューンズの仲間たちが多数カメオ出演。サム・シープドッグ、ジョバンニ・ジョーンズ、ピート・ピューマといったおなじみのキャラクターたちがカフェの店員や客として登場し、作品に華を添えています。また、ポーキー・ピッグ、マグジー、ゴッサマー、ビーキー・バザード、ミス・プリシー、バーンヤード・ドッグ、スパイク、チェスター、グラニー、エルマー・ファッドといったキャラクターたちも、カフェや駅、ホテルといった様々な場所で姿を現します。

『キャロットブランカ』は、『カサブランカ』への愛情と、ルーニー・テューンズならではのユーモアが融合した、心温まるコメディ作品です。短編ながら、笑いあり、ロマンスあり、そしてスリリングな展開で、観る者を飽きさせません。特典映像として収録されているこの作品は、『カサブランカ』ファン、ルーニー・テューンズファン、そしてアニメーションファンすべてにおすすめの一本です。

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