キャンドル・イン・ザ・ウインド

『キャンドル・イン・ザ・ウインド』の変遷

エルトン・ジョンが手がけた「キャンドル・イン・ザ・ウインド」（原題：Candle in the Wind）は、1973年に初めてリリースされた曲で、当初はマリリン・モンローに捧げられたものでした。この楽曲は、1973年のアルバム『黄昏のレンガ路』に収録され、翌年にはシングルとしても発売されました。シングルは全英チャートで11位を記録したものの、アメリカでのリリースは行われませんでした。この際の邦題は「風の中の火のように（孤独な歌手、ノーマ・ジーン）」でした。

その後、1987年にオーストラリアでのライブ音源が『エルトン・スーパー・ライヴ 〜栄光のモニュメント〜』に収録され、再びシングルとしてリリースされました。このバージョンは全英チャートで5位を記録し、アメリカでもシングルとして発売された結果、Billboard Hot 100では6位となりました。

1997年のリメイク版

1997年には、ダイアナ元英皇太子妃への追悼の意を込めたリメイク版が発表されます。「キャンドル・イン・ザ・ウインド 〜ダイアナ元英皇太子妃に捧ぐ」というタイトルで、エルトン・ジョンはこの新たな詞に関して、バーニー・トーピンに依頼しました。当初、ダイアナの訃報を受けてイギリスのラジオ局が「キャンドル・イン・ザ・ウインド」を流していたことが発端で、エルトンはその事実をバーニーに伝えた時、改作を要請したと誤解されます。しかし、その後新しい歌詞がダイアナにふさわしいと認められた結果、ダイアナの葬儀で新詞が演奏されることになりました。この詞の改訂はなんと、わずか2時間で行われたと言います。

1997年9月6日のダイアナの葬儀で演奏されたこの楽曲は、後にシングルとしてCD化されました。この時は「サムシング・アバウト・ザ・ウェイ・ユールック・トゥナイト」との両A面としてリリースされ、発売から瞬く間に広まりました。このシングルは、発売初日に65万8000枚の売上を記録し、1週間で150万枚、最終的には540万枚に達しました。また、フランスやオーストラリアでも爆発的な売上を記録しました。

アメリカでも大ヒットを記録し、予約注文が870万枚に達し、サウンドスキャンによれば1週目の売上は340万枚に達しました。この曲は、1992年にホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」が記録した過去の記録を大きく上回る結果となり、CDの生産は受注に追いつかなくなり、一時的に注文受付が中止されました。日本でも話題となり、初回出荷だけで30万枚、10月9日までに70万枚を売り上げました。

その後もこの楽曲は世界中で40か国以上のチャートで1位を獲得し、累計売上は3300万枚を超え、ダイアナ記念基金に2000万ポンド以上が寄付されました。2015年にリリースされたコンピレーション・アルバムには1973年版のみが収録され、リメイク版は著作権制限により新たに録音されることはありません。

カヴァー・ヴァージョン

この楽曲は多くのアーティストによってカヴァーされており、特にサンディ・デニーやエド・シーランなどが有名なバージョンを発表しています。エルトン・ジョンの「キャンドル・イン・ザ・ウインド」は、ただの楽曲にとどまらず、時代を超えて多くの人々の心に響く存在となっています。

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