キャンベル・アーリー

キャンベル・アーリー (Campbell Early)

キャンベル・アーリーは、アメリカで生まれた黒紫色のブドウ品種です。ジョージ・W・キャンベルが「ムーア・アーリー」に「ベルビダー×マスカットハンブルグ」を交配して育成し、1894年に発表しました。日本には1897年（明治30年）に川上善兵衛によって導入されました。

品種の特徴

果実: 果粒は5～6gと小ぶりで、糖度は15度前後です。成熟すると紫黒色になります。
樹: 樹勢は中程度で、樹冠の広がりも大きくありません。若木のうちは節間が長く太い新梢がよく伸びます。枝の成熟は良く、耐寒性も高いため、北海道でも栽培が可能です。
栽培: 土壌はあまり選びませんが、乾燥には弱いため、保水性の高い土壌が適しています。病害虫には比較的強いですが、褐斑病と晩腐病には注意が必要です。
フォキシーフレーバー: ラブルスカ種特有のフォキシーフレーバー（野生的な香り）を含んでいます。

日本での栽培

日本では、主に北海道や東北地方（岩手県、青森県、秋田県など）で栽培されています。収穫時期は8月中旬頃からです。寒さに強いことから、これらの地域での栽培に適しています。

利用方法

キャンベル・アーリーは、生食の他、果汁やワインの原料としても利用されます。平成22年（2010年）の調査では、収穫量の内訳は果汁用が約242トン、醸造用が約162トン、生食用が約12トンでした。他のブドウ品種に比べて単価が安いため、主に地元で消費されることが多いです。

大玉キャンベル（石原早生）

キャンベル・アーリーの芽条変異種で、4倍体品種です。1915年（大正4年）に石原助市によって発見されました。「石原早生」とも呼ばれ、巨峰の親としても知られています。

果実: 果房は大型の円筒形で、果粒は7～9g程度です。糖度は15～16度です。成熟すると紫黒色に着色します。
特徴: 果皮が厚く、果肉との分離が良いのが特徴です。肉質は柔らかく多汁で、強いラブルスカ香があります。脱粒しやすく、日持ちや輸送性は弱いです。
栽培: 樹勢は中程度で、適湿な肥沃地を好みます。耐病性、耐寒性は強いです。

関連項目

ブドウ
ブドウ品種の一覧
ワイン用ブドウ品種の一覧
日本のワイン

脚注・出典

農文協編『果樹園芸大百科 ブドウ』(社)農山漁村文化協会、2000年2月25日。ISBN 4-540-99333-X。

外部リンク

* 都農ワイン: キャンベル・アーリーを原料にしたワイン醸造で有名です。

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