キヤノン デミシリーズ

キヤノン デミシリーズ：ハーフサイズカメラの金字塔

キヤノンの「デミ」シリーズは、1963年から発売されたフィルムカメラのシリーズです。その最大の特徴は、35mmフィルムの半分サイズの「ハーフサイズ」フォーマットを採用している点です。これにより、1本のフィルムで2倍の枚数を撮影できるという経済性と、コンパクトなカメラボディが魅力でした。

135フィルム使用モデル

デミシリーズは、主に135フィルム（一般的な35mmフィルム）を使用するモデルが中心です。ハーフサイズであるため、撮影フォーマットは24×18mmとなります。

キヤノンデミ (1963年2月発売)

シリーズの最初のモデルが「キヤノンデミ」です。特徴的な実像式ファインダーを搭載し、初期モデルは真鍮製、後にアルミ合金製へと変更されました。シャッターはセイコーシャLのプログラムシャッターで、セレン光電池による追針式露出計を搭載し、手動で露出を合わせる方式です。レンズは28mmF2.8のキヤノンレンズSHを搭載しています。

キヤノンカラーデミ (1963年10月発売)

「キヤノンカラーデミ」は、「キヤノンデミ」のバリエーションモデルです。貼り革の色が赤、青、緑の3種類があり、カラーバリエーションを楽しむことができました。基本性能は「キヤノンデミ」と同じです。

キヤノンデミS (1964年9月発売)

「キヤノンデミS」は、マニュアル露出機能を搭載したモデルです。セレン光電池による追針連動式露出計を備え、露出の調整をより細かく行うことができます。レンズは30mmF1.7の明るいキヤノンレンズSHを採用。ピントは目測式です。

キヤノンデミC (1965年4月発売)

「キヤノンデミC」は、レンズ交換が可能なモデルです。専用のマウントレンズを使用し、28mmF2.8のキヤノンレンズSDと50mmF2.8のキヤノンレンズSDの2種類が用意されました。レンズ交換により、撮影の幅が広がりました。

キヤノンデミEE17 (1966年5月発売)

「キヤノンデミEE17」は、シャッター速度優先AE（自動露出）機能を搭載したモデルです。「キヤノンデミラピッド」を通常の35mmフィルム仕様に変更したもので、シャッター速度を優先して露出を決定します。レンズは30mmF1.7のキヤノンレンズSHを搭載。ピントは目測式です。

キヤノンデミEE28 (1967年4月発売)

「キヤノンデミEE28」は、プログラムAE機能を搭載したモデルです。カメラが自動的に絞りとシャッター速度を決定します。レンズは28mmF2.8のキヤノンレンズSHを搭載し、デミシリーズの最終機種となりました。

ラピッドフィルム使用モデル

キヤノンデミラピッド (1965年6月発売)

「キヤノンデミラピッド」は、デミシリーズで唯一ラピッドフィルムを使用するモデルです。測光素子をセレン光電池からCdSに変更し、シャッター速度優先AEを新たに搭載しました。ファインダーは採光式フレーム付き逆ガリレオファインダーを採用。レンズは30mmF1.7のキヤノンレンズSHを搭載しています。ピントは目測式です。

まとめ

キヤノンデミシリーズは、ハーフサイズカメラの代表的な存在として、多くのカメラファンに愛されてきました。そのコンパクトなボディと、多彩なモデル展開は、フィルムカメラの魅力を改めて教えてくれます。各モデルにはそれぞれの個性があり、コレクションとしても価値のあるシリーズと言えるでしょう。

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