キヤノン EOS 7

キヤノンEOS 7は、2000年10月にEOS 55の後継機として発売されたハイアマチュア向けの35mm一眼レフカメラです。当時のキヤノンEOSシリーズでは、上位機種にEOS-3、下位機種にEOS Kiss IIIがあり、EOS 7はその中間に位置づけられていました。開発コンセプトは「高品位と斬新さを兼ね備えた存在感のある造形」であり、そのデザインと性能は多くのユーザーから支持を得ました。

2004年3月にはマイナーチェンジモデルのEOS 7sが発売され、2007年の時点ではEOS-1Vに次ぐキヤノンのフィルム一眼レフカメラの主力機種でしたが、同年には生産が終了しました。EOS 7とEOS 7sは、その性能と使いやすさから、フィルムカメラ愛好家にとって魅力的な選択肢でした。

特徴

EOS 7の最大の特徴は、その高速なAF性能にあります。独自開発のCMOSセンサーによる7点AFシステムは、自由なフレーミングを可能にし、被写体を正確に捉えます。さらに、視線入力AFを搭載しており、視線検出応答時間を短縮しつつ、視度調整機構も備えるなど、使い勝手の向上が図られています。

連写速度は秒間最速4コマで、これはボディ単体での連写速度が秒間最速3.5コマのEOS-1Vを上回ります。動体予測能力もEOS-1Vと同等の性能を実現しており、スポーツや動物などの動きの速い被写体も捉えやすくなっています。フィルムの巻き上げ・巻き戻しには最新のサイレント技術が採用され、静粛性も向上しています。

キヤノンはEOS 7をハイアマチュア機としていますが、初心者にも使いやすいように、11種類の撮影モードを搭載しています。これらのモードは、被写体に合わせて選択でき、様々な撮影シーンに対応できます。また、35分割評価測光や、専用スピードライト使用時にはE-TTL自動調光に対応するなど、高度な撮影機能も備えています。

ボディデザインは、斬新かつ緻密な造形処理が施されており、小型ながら高級感のある外観を実現しています。このデザインは、多くのユーザーから高く評価されています。

マイナーチェンジモデルのEOS 7sは、EOS 7の基本性能を維持しつつ、AF性能をEOS 10Dと同等レベルまで向上させています。また、専用スピードライト使用時には、EFレンズ内蔵の距離エンコーダによる距離情報を加味した新アルゴリズム・E-TTL II自動調光を搭載しています。外観も表示の見やすさや、一層の高級感を出すように改良されています。

諸性能

- 形式: モータードライブ、フラッシュ、オートデート内蔵35mmフォーカルプレーンシャッター式AF/AE一眼レフカメラ
- 使用レンズ: キヤノンEFレンズ群（EF-Sレンズを除く）
- レンズマウント: キヤノンEFマウント
- ファインダー: ペンタプリズム使用、アイレベル式、視度調整機能内蔵
- ファインダー視野率: 上下90%、左右92%
- ファインダー倍率: 0.70倍
- シャッター速度: 1/4000-30秒（1/2段ステップ）、バルブ、X=1/125秒
- 測光方式: 35分割SPC使用、TTL開放測光（評価測光、部分測光（10%）、中央部重点平均測光）
- 測光範囲: EV1～20(常温、50mmF1.4、ISO100)
- 露出補正: ±2段（1/2段ステップ）
- 使用フィルム感度: ISO6-6400(DXコード自動設定ISO25-5000)
- オートフォーカス: CMOSセンサーによるTTL-SIR方式（EOS 7sはTTL-CT-SIR方式）視線入力対応7点測距AF
- 測距輝度範囲: EV1-18(ISO100)
- 連続巻き上げ速度: 最高約4コマ/秒
- 内蔵フラッシュ: ペンタ部内蔵リトラクタブル直列制御・TTL自動調光オートポップアップフラッシュ（ガイドナンバー13）
- 外部フラッシュ: 専用スピードライトEXシリーズ使用時、E-TTL（EOS 7sはE-TTL II）自動調光に対応
- 大きさ: 146.7（幅）x103（高さ）x69（奥行）mm
- 重量: 580g（本体のみ、EOS 7sは585g）

その他

海外では、視線入力AFを省略したモデルも販売されていました。北米では、EOS 7はEOS ELAN 7/EOS ELAN 7E、EOS 7sはEOS ELAN 7N/EOS ELAN 7NEとして販売されました。ヨーロッパ・アジア・オセアニアでは、EOS 7はEOS 33/EOS 30、EOS 7sはEOS 33V/EOS 30Vとして販売されていました。

EOS 7とEOS 7sは、その高性能と使いやすさから、多くのフィルムカメラ愛好家に愛されたカメラです。

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