キューバ鉄道

キューバ鉄道の概要

キューバ鉄道（Ferrocarriles de Cuba, FCC）は、キューバ共和国における旅客および貨物の輸送を行う国有の鉄道会社であり、西インド諸島でも最も重要な鉄道運営者です。本鉄道は、南北に点在する州都および主要な港を結んでおり、その広大な運行網は、キューバの交通インフラにおいて中心的な役割を果たします。

路線

キューバ鉄道は、標準軌の1,435mmを備えた路線網を持ち、主に西のグアネから東のグアンタナモまでの835kmに及んでいます。特に注目すべきは、「中央線」と呼ばれるハバナとサンティアゴ・デ・クーバを結ぶ重要なルートで、ここで運行される「1号列車」は国鉄のシンボルともり、観光客や地元住民に親しまれています。

さらに、国内にはハバナからピナール・デル・リオ、シエンフエゴス、バヤモ・マンサニヨといった他の地域へ向かう長距離ルートも存在します。また、キューバの主要な港（ハバナ、マリエル、マタンサス、ヌエビタス、サンティアゴ・デ・クーバ）を結ぶことで、輸出入における物流を支えています。全体の4,226kmの路線のうち、わずか140kmが電化されており、大半は非電化の手動運転で行われています。

特筆すべきは、「ハーシー電鉄」路線です。1916年にザ・ハーシー・カンパニーが造成したこの路線は、現在もハバナ北部とマタンサス間の通勤路線として利用されています。

歴史

キューバの鉄道の起源は1834年に遡ります。当時の摂政女王マリア・クリスティーナ・デ・ボルボン＝ドス・シシリアスにより、キューバで初めての鉄道建設が承認され、1837年にはハバナとベユカルを結ぶ蒸気鉄道が開業しました。この路線は、後に様々な地域へと延伸され、キューバ全体の鉄道網の基礎を築くことになります。

革命前の20世紀初頭には、アメリカ生まれのカナダ人鉄道経営者サー・ウィリアム・ヴァン・ホーンが「キューバ鉄道会社」に投資し、鉄道網の拡大に寄与しました。1924年には「キューバ国鉄」が設立され、様々な地方鉄道が統合されました。1940年代には、ディーゼルエンジンを導入し、旅客列車の運行は近代化を迎えました。

キューバ革命が成功した1959年以降、公営と私営の鉄道網が国有化され、新たな「キューバ国営鉄道」が設立しました。しかし、それに伴いアメリカからの部品供給が断たれ、徐々に鉄道の状態は悪化していきました。1960年代には、イギリスの技術援助を受けて新しい機関車を導入することに成功しましたが、依然として厳しい状況が続いていました。

近年の発展

21世紀に入ってから、キューバの鉄道網は着実に改善を見せています。2007年にはベネズエラ社会経済開発銀行からの資金援助を受け、鉄道インフラの整備が進められました。平均速度も40km/hから100km/hへと向上が期待されています。

さらに、2010年には鉄道網の修復計画が発表され、新しい車両の導入と鉄道技術者の育成も始まりました。

このように、キューバ鉄道は多くの歴史を経て、今もなおその重要性を失わず、地域経済や輸送の中核となっています。今後もその進化に注目が集まります。

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