キラーチューンしかねえよ

ゴールデンボンバー『キラーチューンしかねえよ』

ヴィジュアル系エアーバンドとして唯一無二の存在感を放つゴールデンボンバーの通算3枚目となるオリジナルアルバム『キラーチューンしかねえよ』は、2018年1月31日にZany Zapよりリリースされました。この作品は、前作『ノーミュージック・ノーウェポン』から約2年半の期間を経て発表された、待望のオリジナルフルアルバムとなります。

アルバムの内容と収録曲

本作には、リリース当時までに発表されていた複数のシングル曲が収録されていますが、過去全てのシングルが含まれているわけではありません。例えば、シングルとして親しまれた「おどるポンポコリン」は、残念ながら本作には収められていません。一方で、シングル「やんややんやNight 〜踊ろよ※※〜」については、アルバムバージョンとして新たに収録されており、新鮮なサウンドを楽しむことができます。アルバム全体を通して、ゴールデンボンバーらしいキャッチーでバラエティ豊かな楽曲群が展開されています。

異例のフリー音源化楽曲

このアルバムの収録曲の中で、特に大きな話題を呼んだのがM.11に収められている「誕生日でも結婚式でも使える歌」です。この楽曲は、アルバム発売に先立って行われた先行披露ライブの場で、ボーカルの鬼龍院翔によって原盤使用料と著作権料を放棄し、フリー音源として提供されることが発表されました。

この楽曲が制作された背景には、ファンから鬼龍院に寄せられた「誕生日と結婚式の両方のシチュエーションで使えるような歌があったら良いのに」という意見がありました。鬼龍院は、こうしたリスナーの声に応える形でこの楽曲を生み出し、さらに「この曲を、使用料などを気にすることなく、皆さんに誕生日や結婚式といったおめでたい場で自由に、そして気軽に利用してもらいたい」という強い思いから、前代未聞とも言えるフリー音源化という形を選びました。これにより、「誕生日でも結婚式でも使える歌」は、祝福のシーンを彩る楽曲として広く使われる可能性を持つこととなりました。

画期的な先行披露ライブ

アルバムのリリース直前、2018年1月29日には、豊洲PITにて本作の先行披露ライブが開催されました。その正式名称は「ゴールデンボンバーニューアルバム『キラーチューンしかねえよ』鬼龍院以外のメンバーも初聴き先行披露ライブ」という異例のものでした。この公演は、動画配信プラットフォームであるLINE LIVEを通じても生配信され、会場に足を運べないファンもリアルタイムで楽しむことができました。

ライブの最大の特徴は、タイトルの通り、ボーカルの鬼龍院翔を除くメンバー（喜矢武豊、歌広場淳、樽美酒研二）が、客席のファンと同様に、ステージ上で初めてアルバム収録曲を耳にするという斬新な試みが行われたことです。楽曲は事前にレコーディングされた音源（打ち込み）で再生されるため、メンバーは曲を聴きながら即興でエアーパフォーマンスを繰り広げます。初めて聴く曲に対するメンバーたちの素直なリアクションや戸惑い、そしてそれでもエンターテイナーとしてパフォーマンスを成立させようとする姿が、観客や視聴者に大きな笑いと感動を提供しました。この企画は、ゴールデンボンバーというバンドが持つユニークなスタイルと、エンターテイメントへの飽くなき探求心を強く打ち出すものとなりました。

チャートにおける実績

商業面においても、『キラーチューンしかねえよ』は確かな成功を収めました。オリコン週間アルバムチャートにおいて、発売初週に25,495枚のセールスを記録し、初登場で2位を獲得しました。これは、ゴールデンボンバーがこれまで発表してきたオリジナルアルバム、ベストアルバム、カバーアルバムなどを含めた通算のアルバム作品において、4作目のトップ3入りを達成するという快挙でした。この結果は、彼らの根強い人気と、アルバム作品に対するファンの期待の高さを示しています。

まとめ

『キラーチューンしかねえよ』は、ゴールデンボンバーの多様な音楽性と、彼らならではのエンターテイメント性が凝縮されたアルバムです。特に、ファンからの意見を反映させた楽曲の制作と、それをフリー音源として提供するという試み、そしてメンバーさえも初聴きでパフォーマンスを行うという前代未聞のライブ企画は、常に既成概念にとらわれず新しいことに挑戦し続ける彼らの姿勢を象徴しています。本作は、ゴールデンボンバーのキャリアの中でも、その独自性と革新性が際立つ重要な作品として位置づけられるでしょう。

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