キロ型潜水艦

キロ型潜水艦の詳細

キロ型潜水艦（Kilo class submarine）は、ソビエト連邦及びロシア海軍で運用されている通常動力型潜水艦であり、その設計には静音性が特に重視されています。NATOコードネームとして知名度が高く、ソ連海軍では877型潜水艦（プロジェクト877）という名称で呼ばれています。なお、ロシア語では「ヴァルシャヴャンカ」と呼ばれ、この名称は友好国への輸出モデルでも広く使用されています。

概要と設計目的

キロ型潜水艦は、もともとソ連の原子力潜水艦を補完しつつ、自国沿岸での対潜警戒任務に対応するために設計されました。艦載ミサイルを用いることで、水上艦や地上目標に対しても攻撃が可能です。初めて就役したのは1982年であり、その後も多くの友好国に輸出されていますが、その性能の高さから、特にインドやイランにおいて重要な海洋戦力となっています。

特徴と装備

キロ型の主な特色は、その静音性にあります。ロシア海軍のモデルでは、パッシブソナーによる探知距離が約500メートルとされています。設計は寒冷なロシア近海での運用を前提としているため、冷却機構が弱い面も指摘されています。改良型である636型は、出力向上や静音化技術の導入により、より高性能な潜水艦として進化しています。特筆すべきは、ターボディーゼル機関の導入により、充電時間が短縮され、プロペラもハイスキュード型に変更されているため、騒音レベルが大幅に下がっています。

潜水艦の構造は涙滴型で、複殻式。内殻は水密隔壁で区切られ、外部は吸音タイルで覆われています。艦には引き込み式の潜舵と、変形型の舵も装備されており、高い操縦性を誇ります。特徴的には、艦対空ミサイルが搭載されている点で、これは潜水艦においては特異な仕様です。発射は浮上時に限られ、潜航時に発射する能力はありません。

戦闘システム

戦闘システムにはMVU-110EM魚雷「Murena」の火器管制装置が使用され、同時に3つの異なる目標を探知し、最大2つに攻撃を行うことが可能です。533mmの魚雷発射管は前部に配置されており、積載可能な魚雷には有線誘導式のものも含まれます。また、636M型からは「クラブS」ミサイルシステムが搭載でき、これにより多様な攻撃ミサイルを運用する能力が向上しています。

運用状況と国際的な展開

現在、キロ型潜水艦はロシア海軍での運用に加え、海外でも広く活用されています。2014年末の時点では、ロシア向けに少なくとも26隻が、海外向けには31隻が建造されました。新型艦の建造も進行中で、特に黒海艦隊では更なる艦艇の配備が計画されています。また、シリア内戦ではロシア海軍の艦が巡航ミサイルを発射するなど、実戦でもその能力を発揮しています。

インド、イラン、中国などが導入しているキロ型潜水艦は、各国の防衛力の向上に寄与しており、中でも中国海軍は636M型を行使して対艦ミサイル戦力を強化しています。これにより、南シナ海での戦略的なパトロール能力の大幅な向上が見込まれています。また、ロシア自身も改良型の636.3型で運用を続け、国の防衛戦略の一環として距離を置いて展開しています。

まとめ

キロ型潜水艦は、その静音性と戦闘能力から、ロシアはもちろん世界各国において重要な海洋戦力とされています。艦艇の設計と技術革新により、今後も進化を期待される存在です。

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