対艦ミサイル

対艦ミサイルの概要

対艦ミサイル（たいかんミサイル、英: Anti-ship missile, AShM）は、主に海上の敵艦を攻撃するために開発されたミサイルです。これらのミサイルは、その威力と精密さから海戦において大きな役割を果たしています。

対艦兵器の歴史

対艦ミサイルの開発は、第二次世界大戦中にさかのぼります。当時、戦艦や航空機による対艦攻撃が主流でしたが、精密誘導兵器が導入されることにより、対艦ミサイルの技術が向上しました。1943年にはドイツ空軍がフリッツXを実戦に投入し、1945年にはアメリカ海軍がバットを使用して成果を上げました。このような誘導爆弾は、当初は艦艇を対象にしたものではありませんでしたが、その改良を経て後に対艦攻撃に転用されています。

巡航ミサイルとその進化

大戦後は、巡航ミサイル（ASCM）が開発され、特にソビエト連邦では1953年に初の空対艦ミサイルKS-1を弾道ミサイル技術を応用して運用するようになりました。1970年代には、アメリカやNATO諸国も次々と空対艦ミサイルを開発しました。特に、エグゾセミサイルは1982年のフォークランド紛争での使用によりその名を馳せました。この時期、ミサイル技術は進化を続け、速度や射程、精度が向上しました。

対艦ミサイルの防御技術

対艦ミサイルの進化には、同時に防御技術の向上も求められました。艦艇側は、電子攻撃や近接防御武器システム（CIWS）を活用してミサイル攻撃に対抗しました。その結果、ミサイル側では超低空飛行やレーダー反射断面積の低減といった対策が講じられるようになりました。特に、最近ではミサイルの超音速化が注目され、敵の迎撃の余裕を与えない技術が開発されています。

弾道ミサイルの対艦利用

さらに、新たな発展として、弾道ミサイルを対艦兵器として使用する動きも見られました。特に中国は、接近阻止や領域拒否（A2/AD）能力を見据え、DF-21Dなどの対艦弾道ミサイルを開発しました。これにより、戦略的に重要な海域での主導権を握ることが狙われています。

現在の展望

今日、対艦ミサイルは多種多様なプラットフォームに搭載され、海上の戦闘において重要な役割を担っています。将来的には、技術革新に伴い新しいタイプのミサイルも登場するでしょう。海洋戦争の様相は常に変わりますが、対艦ミサイルはその中心的存在として、今後も進化し続けることが期待されます。

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