キング・ダイアモンド

キング・ダイアモンド (King Diamond)

キング・ダイアモンド（King Diamond、本名 Kim Bendix Petersen、1956年6月14日 - ）は、デンマーク出身のヘヴィメタルミュージシャンであり、ヴォーカリストです。彼の音楽キャリアは、シアトリカルなパフォーマンスと、裏声を駆使した独特のハイ・トーン・ヴォーカルによって特徴づけられています。キング・ダイアモンドは、自身の名を冠したヘヴィメタルバンド「キング・ダイアモンド」を率いて活動しています。

略歴

黎明期〜マーシフル・フェイト時代（1974年 - 1985年）

キング・ダイアモンドは、コペンハーゲン郊外のヴィズオウアで生まれました。初期にはブラック・ローズというハードロックバンドで活動し、その後、ハンク・シャーマン（ギター）、マイケル・デナー（ギター）、ティミ・ハンセン（ベース）と出会い、1980年に「マーシフル・フェイト」を結成しました。マーシフル・フェイトは、1985年に解散するまでに、自主制作のミニアルバム1枚と、『ロードランナー・レコード』からフルアルバム2枚を発表しました。

キング・ダイアモンド開始（1985年 - 現在）

キング・ダイアモンドは、マーシフル・フェイト時代の盟友であるマイケルとティミに加え、アンディ・ラ・ロック（ギター）とミッキー・ディー（ドラム）を迎えて「キング・ダイアモンド」を結成しました。引き続き『ロードランナー・レコード』に在籍し、企画物のシングル「ノー・プレゼンツ・フォー・ザ・クリスマス」（1985年）を経て、アルバム『フェイタル・ポートレイト』（1986年）で本格的にデビューしました。続く『アビゲイル』（1987年）は、アメリカのBillboard 200にチャートインする成功を収めました。しかし、マイケルとティミが脱退し、以後、メンバーは流動的になりました。4作目『コンスピラシー』（1989年）の発表と前後して、ミッキー・ディーも脱退しました（ミッキーはその後、ドン・ドッケンを経てモーターヘッドに加入）。それでも、後任ドラマーにスノーウィ・ショウを迎え、『ジ・アイ』（1990年）を発表しましたが、バンドは活動休止に追い込まれました。

マーシフル・フェイト再結成とキング・ダイアモンド再始動〜以降（1992年 - 現在）

1992年、キング・ダイアモンドはマーシフル・フェイト再結成に加わり、『メタル・ブレイド』に移籍しました。その後、キング・ダイアモンドの方も活動を再開させました。相棒アンディ・ラ・ロックに加え、新たにハーブ・シモンセン（ギター）、クリス・エステス（ベース）、ダーリン・アンソニー（ドラム）を迎えて、復活作『ザ・スパイダーズ・ララバイ』（1995年）を発表しました。1999年にマーシフル・フェイトが再び解散してからは、キング・ダイアモンドに専念しています。傑作『アビゲイル』の続編に当たる『アビゲイルII：ザ・リベンジ』（2002年）以降は、キングとアンディの2人に、マイク・ウェッド（ギター、元ミメント・モーライ～マーシフル・フェイト）、マット・トンプソン（ドラム）、1987年から1989年に在籍していたハル・パティーノ（ベース）というラインナップで活動しています。

また、キング・ダイアモンドは、デイヴ・グロールのプロジェクトアルバム『プロボット』にもゲスト参加し、2005年には、『ロードランナー・レコード』25周年を記念したプロジェクト、ロードランナー・ユナイテッドのアルバム『オールスター・セッションズ』にも参加しています。2007年のアルバム『Give Me Your Soul...Please』収録曲「Never Ending Hill」は、第50回グラミー賞で最優秀メタル・パフォーマンス賞にノミネートされました。

2010年11月29日に心臓発作で救急搬送され、同年に心臓3枝バイパス手術を受けました。2013年には、LOUD PARKでキャリアを通して初来日の予定でしたが、機材の遅れに伴い運営側から直前に出演をキャンセルされた事を公式サイトで公表しました。

キング・ダイアモンドの歌唱スタイル

キング・ダイアモンドは、独特の歌い方でカルト的な人気を得ています。不気味な低音域と、裏声を駆使した高音域の極端なコントラストが、楽曲にドラマティックな要素を与えています。クレイドル・オブ・フィルスのヴォーカリスト、ダニ・フィルスを筆頭に、白黒のメイクも合わせて後のメロディック・デスメタルやブラックメタルに大きな影響を与えました。

マーシフル・フェイトとキング・ダイアモンドの違い

マーシフル・フェイトとキング・ダイアモンドは、どちらもキング・ダイアモンドがヴォーカルを務め、不気味さと美しさを融合したヘヴィメタルを創造している点で共通しています。また、キング以外にも、両方に籍を置いたことのあるメンバーは多いです。しかし、マーシフル・フェイトはハンク・シャーマンとの双頭バンドであり、ハンクの作曲能力も大きな鍵となっていました。それに対し、キング・ダイアモンドにはアンディ・ラ・ロックという名参謀もいますが、基本的にはキングのコンセプトを具現化するバンドと言えます。

また、マーシフル・フェイトが楽曲単位でドラマを演出するのに対し、キング・ダイアモンドは、コンセプトアルバムが多いのも特徴です。妻が悪魔の子を身籠もる『アビゲイル』、サイコホラー的な『ザ・グレイヴヤード』、「イエス・キリストは実は生きていた」という奇想天外な発想を基にした『ハウス・オブ・ゴッド』等、多彩な恐怖物語を綴っています。

もう一度検索