キンタ・デル・ブイトレ

キンタ・デル・ブイトレ (Quinta del Buitre)

キンタ・デル・ブイトレは、1980年代にスペインの名門サッカークラブ、レアル・マドリードで活躍した5人の選手たちを指す言葉で、彼らはカスティージャCF出身のエミリオ・ブトラゲーニョ、ミチェル、マルティン・バスケス、ミゲル・パルデサ、マヌエル・サンチス・オンティジュエロから成り立っています。この名称は、中心選手であるブトラゲーニョの愛称「エル・ブイトレ」が由来です。彼らの活躍はチームを1985-86シーズンから5年連続でプリメーラ・ディビシオン優勝に導き、当時のスペインサッカー界に強い影響を与えました。

背景

第二次世界大戦後、レアル・マドリードは他のクラブから多くの選手を獲得してきましたが、下部組織の選手たちがチームの核になったケースは非常に珍しいものでした。この状況は、過去の選手獲得に伴う財政的な負担から、収益が減少していたために他クラブからの選手獲得が困難になったことに起因しています。1980年にカスティージャCFがコパ・デル・レイの決勝に進出したことで、下部組織への注目が高まり、レアル・マドリードもこの流れに乗り、カスティージャCFから選手を起用する体制にシフトしました。

構成メンバーの成長

1983年の12月4日、マヌエル・サンチスとマルティン・バスケスがレアル・マドリードのトップチームでデビューしました。その後、ミゲル・パルデサも続き、1984年2月にはブトラゲーニョが初めてピッチに立ち、2得点を記録する快挙を成し遂げました。シーズン中、アマンシオ・アマロ監督が率いるカスティージャCFはセグンダ・ディビシオンのタイトルを獲得しますが、ミチェルが試合の中でディ・ステファノ監督に「自分がまだカスティージャにいる理由」を問い正した際には、ディ・ステファノから「1人前の男になったら」との言葉を受けました。

1987年6月には、彼ら5人がそろってピッチに立った唯一の試合がアトレティコ・マドリードとのコパ・デル・レイ準決勝でした。1985年には新たな選手を獲得し、特にウーゴ・サンチェスはプリメーラ・ディビシオン5連覇のうちの数シーズンで得点王にも輝く活躍を見せました。

黄金時代とその後

キンタ・デル・ブイトレの時代、レアル・マドリードは1985-86シーズンから5年連続でプリメーラ・ディビシオンを制覇しました。特に1989-90シーズンは107得点を挙げ、リーグ史上最多得点を記録しました。彼らはまた、コパ・デル・レイやスーペルコパ・デ・エスパーニャ、UEFAカップにおいても優勝を果たしましたが、UEFAチャンピオンズカップでは3度準決勝に進出しながらも未だ優勝を果たすことはできませんでした。

1992年にハビエル・クレメンテが代表監督に就任すると、キンタ・デル・ブイトレの解体が進み、1990年代後半には選手たちが次々と移籍や引退を迎えました。5人の中で唯一レアル・マドリードでの現役引退を果たしたのはサンチスでした。

2022年2月、彼らは久々に再集結し、マドリード州から「国際スポーツ賞2021」を受賞しました。彼らの活躍を称え、サッカー界における重要な存在感を再確認する機会となりました。

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