キーウ大学

キーウ大学の概要

キーウ大学（ウクライナ語: Київський національний університет імені Тараса Шевченка、英語: Taras Shevchenko National University of Kyiv）は、ウクライナの首都キーウに位置する国立大学で、1834年に設立されました。この大学は、ウクライナを代表する詩人であり、芸術家であるタラス・シェフチェンコの名にちなみ、ウクライナの高等教育の中心的存在として広く認知されています。かつては「キエフ大学」としても知られ、国内で3番目に古い大学であり、国内最高峰の高等教育機関とされています。その教育活動の背景には長い歴史があり、リヴィウ大学やハルキウ大学と並ぶ伝統ある機関です。

設立と歴史

キーウ大学の歴史は、1632年に設立されたキエフ・モヒラ・アカデミーに遡ります。現代のキーウ大学は、ニコライ1世の命令により1834年に「帝立聖ウラジーミル大学」として創設されました。当初は哲学部のみが存在し、62人の学生が歴史・文献学科と物理・数学科に所属していましたが、1835年に法学部、1847年に医学部が設置されました。その後、幾度かの改称や学部の分割を経て、1920年代まで新たな学部の設置はありませんでした。

1917年にはウクライナ・ソビエト戦争が勃発し、多くの学生がボリシェヴィキ軍と戦いました。その中で特に1918年1月29日のクルーティの戦いでの学生部隊の犠牲は、今もなお追悼されています。1940年代には大学がカザフスタンのキジルオルダに疎開し、ハルキウ大学と統合され「ウクライナ国立大学」と称されましたが、1943年にキーウが解放された後、大学は再建され、1944年に授業を再開しました。1991年のウクライナ独立後は、国を代表する高等教育機関として位置付けられ、研究と教育の中心地となっています。

教育体制と学部

現在、キーウ大学は約3万人の学生を擁し、14の学部と6つの研究所から構成されています。その多様な学問分野には以下のようなものが含まれています：化学部、コンピュータサイエンス・サイバネティックス学部、経済学部、法学研究所など。大学は国際大学協会や欧州大学協会に加盟しており、40カ国以上の400以上の大学と提携しています。これにより、留学生を受け入れ、国際的な教育環境を提供しています。

キャンパスの特徴

キーウ大学のキャンパスは城市の中心部に位置し、歴史的な建物が多く存在します。特に紅棟（Red University Building）は1837年から1843年にかけてロシア後期古典主義様式で建てられ、大学のモットー「功利、名誉、栄光」を象徴する建物です。また、マクスィモヴィッチ図書館はウクライナ最大の研究図書館であり、約350万冊を所蔵しています。フォミン植物園は1839年に設立され、1万種以上の植物を有し、学術研究にも貢献しています。

2024年11月3日には、ロシアのドローン攻撃によって国際関係研究所とジャーナリズム研究所の建物が被害を受ける事態が発生しましたが、大学は引き続きその役割を果たしています。

競争力と卒業生

キーウ大学は、QS World University RankingsやScopusなどの国際的なランキングにおいても高い評価を受けており、特に論文発表数や引用数ではウクライナの大学の中でトップです。これにより、ここで学んだ卒業生たちは、医師やエンジニア、外交官など多岐にわたる分野で活躍しています。

大学からは多くの著名人が輩出されており、初代ウクライナ大統領のレオニード・クラフチュクや文学者のミハイル・ブルガコフ、数学者のマリナ・ヴィヤゾフスカなどがその一例です。

キーウ大学は、その豊かな歴史と教育の質の高さから、今後もウクライナ及び国際社会において重要な役割を果たし続けることでしょう。

もう一度検索