キープ (城)

キープ（Keep）について

キープとは、中世ヨーロッパの城において中心的な役割を果たした建物のことを指します。英語では「キープ」、フランス語では「ドンジョン」と呼ばれ、主に防御および居住のために設計されました。この構造は日本の城における天守に似ているため、同様に訳されることがあります。また、ドイツの城郭建築に見られる「ベルクフリート」とは異なり、キープはより多機能な建物です。ベルクフリートは高さの割に狭い造りで監視塔の役目に留まりますが、キープは城主やその家族の居住空間としての機能も持ち合わせています。

歴史

キープの起源は10世紀頃にさかのぼります。この時期、ノルマン人によって築かれたモット・アンド・ベイリー式の城郭において、モット（人工的に作られた丘）上に木造の方形のタワーが建設されました。しかし、11世紀になると、城の石造化が進み、キープは最も早く石造りにされた部分です。12世紀末からは、イングランド王リチャード1世がガイヤール城に多角形の平面を持つキープを造ったことで、後のキープは平面形状が多様化していきました。正方形から多角形、そして円形のキープが現れるようになりました。

構造

キープの内部は、城主の居住地としてだけでなく、様々な機能を持つ空間に分かれています。具体的な構造はキープによって異なるものの、一例を挙げてみましょう。地下部分にはダンジョンと呼ばれる牢獄があり、地上階には出入り口が設けられています。出入りは通常、橋や階段を介して行われました。

1階に当たる部分は管理空間とされ、2階には広間が配置されています。さらに上の階、つまり3階は居住スペースとして使われ、各階ごとに異なる機能が果たされています。最上階または屋上には、いわゆる防衛のための設備が整っていて、バルティザンや複数の狭間が設置されています。これにより、攻撃に備えた防御体制が整えられていました。

キープの役割は時代とともに変遷しつつも、常に城の中核として存在し続けました。力強い外観と内部構造は、戦術的な視点からも重要なものであり、またその歴史的な価値も高いものとなっています。

関連項目

• - ヨーロッパ100名城
• - 天守
• - 高射砲塔

キープはその形態や構造、美しさにおいても高い評価を受けており、中世の城郭建築には欠かせない存在となっています。

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