キーラン・リード

キーラン・リード（Kieran Read、1985年 10月26日 - ）は、ニュージーランドのラグビーユニオン選手。主にフィールドの中央、特にナンバーエイトとして世界トップレベルで活躍し、フランカーやロックなど、フォワードの様々なポジションをこなすユーティリティプレーヤーとしても知られた。日本では「キアラン・リード」と表記されることもある。

1985年 10月26日、ニュージーランド北島にあるオークランド郊外の町、パパクラに生を受けた。

少年期は、オークランド南部に位置するカウンティーズ・マヌカウ州の小さな町、ドゥルーリーで過ごした。地元のローズヒルカレッジに進学すると、ラグビーのみならず、様々なスポーツで傑出した才能を発揮し、その名を広く知られるようになった。学業においてもリーダーシップを発揮し、全校生徒約二千人を擁するカレッジで最高位であるHead Boyに選ばれたほか、その類まれなスポーツ能力が認められ、Sportsman of the YearやSports all-rounder of the yearなど、数々の栄誉ある賞を受賞した。

特にクリケットにおいては、将来的にニュージーランド代表である「ブラックキャップス」入りも期待されるほどの実力を持っていたが、カレッジ最終学年においてラグビーの道に進むことを決断する。彼の才能に注目していたカンタベリーラグビー協会は、まさに“半ば強引”とも形容されるほど熱心なアプローチの末、彼の獲得に成功した。その後、2006年にニュージーランド国内の州代表選手権であるエアニュージーランドカップ（現在のITM CUP）に参加するカンタベリー州代表チームの一員として公式戦に出場し、シニアレベルでのキャリアをスタートさせた。

翌2007年には、南半球のクラブチームが集まる最高峰のプロリーグであるスーパー14（現在のスーパーラグビー）に所属するニュージーランドの名門クルセイダーズに加入。2008年シーズンにかけては、主にスクラムの右側であるブラインドサイドフランカーとして出場機会を得た。この時期、クルセイダーズのキャプテンであり、スクラムの左側であるオープンサイドフランカーを担っていた偉大な選手、リッチー・マコウと共に、バックローとして非常に効果的なプレーを見せ、チームの躍進に貢献した。

クルセイダーズでの活躍が認められ、2008年にはニュージーランド代表であるオールブラックスに初めて選出される。同年にはスコットランド代表とのテストマッチで、本職ともいえるナンバーエイトとして代表デビューを果たした。その後、2009年にはそれまで不動のナンバーエイトであったロドニー・ソーイアロに代わり、オールブラックスの先発メンバーとしての地位を確立した。彼の卓越したボールキャリー能力、ラインアウトでの強さ、そしてディフェンスにおける判断力は、オールブラックスの強力なフォワード陣の中核をなした。

国際舞台での輝かしいキャリアを積み重ねた後、2019年に日本のジャパンラグビートップリーグに所属するトヨタ自動車ヴェルブリッツへの加入を発表した。2020年1月12日に行われたトップリーグの開幕節、ヤマハ発動機ジュビロ戦に先発出場し、日本での初めての公式戦出場を飾った。同年10月には、チーム内でのリーダーシップが評価され、トヨタ自動車ヴェルブリッツの共同主将に就任している。

2021年5月15日、日本選手権を兼ねて行われたジャパンラグビートップリーグの準決勝、パナソニックワイルドナイツ戦にフルタイム出場したが、試合は21対48で敗れた。この試合後、長きにわたるプロラグビー選手としてのキャリアに終止符を打つことを表明し、現役を引退した。

そのキャリアを通じて、キーラン・リードは数々の栄誉を手にした。特に、2013年にはラグビー界で最も権威ある個人賞の一つであるワールドラグビー年間最優秀選手賞を受賞しており、その実力が世界で高く評価されていたことを証明している。フィールド上での落ち着き、戦術理解度の高さ、そしてリーダーシップは、彼を歴代最高のナンバーエイトの一人たらしめた要因と言えるだろう。

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