キール・オーディトリアム

キール・オーディトリアムについて

キール・オーディトリアム（Kiel Auditorium）は、かつてアメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスに存在した屋内アリーナです。この施設は1934年に建設され、当時の経済状況を反映して600万ドルの巨額な費用がかけられました。収容人数は9300名で、広々とした空間が特徴でした。

当初は「ミュニシパル・オーディトリアム」という名称でしたが、1943年に当時のセントルイス市長、ヘンリー・キールに敬意を表して現在の名称に変更されました。キール・オーディトリアムは、スポーツイベントやコンサート、プロレスなど、様々な催し物が行われる多目的な会場として幅広く利用されていました。

特に注目すべきは、1970年代から1980年代にかけてのプロレスの興行です。ナショナル・レスリング・アライアンス（NWA）の会長であるサム・マソニックがプロモーターを務め、NWAの重要な拠点として知られていました。ここでは全日本プロレスの人気選手たちも頻繁に登場しており、多くのファンを魅了しました。しかし、1984年にWWF（世界レスリング連盟）による全米侵攻作戦が展開されると、キール・オーディトリアムの重要性は低下していきました。

また、キール・オーディトリアムはスポーツチームの拠点ともなりました。NBAのセントルイス・ホークスは、1968年までこの場所を本拠地として使用し、地元のバスケットボールファンに多くの熱狂を与えました。1983年には、ミス・ユニバース世界大会が開催されるなど、大規模なイベントも数多く実施されていました。これにより、キール・オーディトリアムは地域の文化やスポーツの重要な拠点となっていました。

しかし、時とともに施設の老朽化が進み、1992年には閉場されることになりました。その後、取り壊しが行われ、現在その跡地には「エンタープライズ・センター」が建てられています。この新しい施設の中には、キール・オーディトリアムの側壁の一部やサインボードが保存されており、かつての繁栄を思い起こさせる存在となっています。

キール・オーディトリアムは、その歴史やイベントの数々を通じて、セントルイスのコミュニティに多大な影響を与えた施設でありました。今後もその遺産はエンタープライズ・センターなどを通じて受け継がれていくことでしょう。

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