キー・オブ・ライフ

『キー・オブ・ライフ』（Songs in the Key of Life）

スティーヴィー・ワンダーの18枚目のスタジオアルバム『キー・オブ・ライフ』は、1976年にリリースされ、音楽界に大きな影響を与えました。このアルバムは、LPレコード2枚と4曲入りEP「A Something's Extra」で構成され、後にCDとしてもリリースされました。ビルボード誌のアルバムチャートでは1976年の10月末から1977年の1月頭までの間、13週連続で1位を記録し、一時期イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』に首位を譲ったものの、再び1位に返り咲くという驚異的な成果を収めました。

このアルバムには「回想」や「愛するデューク」といった全米1位を獲得したシングルが含まれており、特に「愛するデューク」はジャズの巨星デューク・エリントンに捧げられた作品です。この曲は日本でもauやトヨタ・ノアのCMに使われるなど、多くの人に親しまれています。また、ワンダーは娘のアイシャに捧げた「可愛いアイシャ」を収録していますが、シングルとしてはリリースされていません。それにも関わらず、この曲は多くのアーティストによってカバーされ、日本ではホンダやキリンビバレッジのCMソングとしても使用されました。

音楽的には、スティーヴィー・ワンダーが全ての楽器を演奏した曲もあれば、ゲストミュージシャンを招いての合作も多く見られます。特に「出会いと別れの間に」では、彼と親交の深いミニー・リパートンが参加し、ハービー・ハンコックやジョージ・ベンソンなどもそれぞれの楽曲で魅力を発揮しています。

また、制作はニューヨークのザ・ヒット・ファクトリーで行われた最初のアルバムであり、当時の音楽シーンにおける革新性と多彩さを示しています。『ローリング・ストーン』によるオールタイム・ベストアルバム500では4位に選出され、その影響力が今なお感じられます。1995年には、アルバム収録の「楽園の彼方へ」がサンプリングされたクーリオの「ギャングスタズ・パラダイス」が大ヒットしました。グラミー賞の発表ライブでは、スティーヴィー・ワンダーがサプライズゲストとして登場し、クーリオと共演したことも話題になりました。

収録曲一覧

アナログA面

• - ある愛の伝説 - Love's in Need of Love Today (7:04)
• - 神とお話し - Have a Talk with God (2:40)
• - ビレッジ・ゲットー・ランド - Village Ghetto Land (3:23)
• - 負傷 - Contusion (3:44)
• - 愛するデューク - Sir Duke (3:52)

アナログB面

• - 回想 - I Wish (4:11)
• - 孤独という名の恋人 - Knocks Me Off My Feet (3:34)
• - 楽園の彼方へ - Pastime Paradise (3:26)
• - 今はひとりぼっち - Summer Soft (4:12)
• - 出逢いと別れの間に - Ordinary Pain (6:23)

アナログC面

• - 可愛いアイシャ - Isn't She Lovely (6:32)
• - 涙のかたすみで - Joy Inside My Tears (6:28)
• - ブラック・マン - Black Man (8:27)

アナログD面

• - 歌を唄えば - Ngiculela - Es Una Historia - I Am Singing (3:47)
• - イフ・イッツ・マジック - If It's Magic (3:10)
• - 永遠の誓い - As (7:06)
• - アナザー・スター - Another Star (8:26)

A Something's Extra

• - 土星 - Saturn (4:52)
• - エボニー・アイズ - Ebony Eyes (4:07)
• - 嘘と偽りの日々 - All Day Sucker (5:04)
• - イージー・ゴーイン・イヴニング - Easy Goin' Evening (3:57)

『キー・オブ・ライフ』は、スティーヴィー・ワンダーの音楽的才能と時代を超えたメッセージを結実させた、まさに名作と言えるでしょう。

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