キ119 (航空機)

キ119: 日本陸軍の戦闘爆撃機

キ119は、日本陸軍によって開発が計画された戦闘爆撃機であり、その設計を手掛けたのは川崎航空機である。この機体の設計がスタートしたのは1945年3月であったが、終戦により開発は途中で終了した。

概要

1945年の春、日本陸軍は川崎航空機に新しい軍用機の設計を依頼した。この機体は、胴体の下に爆弾を懸架して敵艦船を攻撃した後に、敵の戦闘機と戦うことができる能力を持つことが求められた。川崎航空機では、土井武夫技師を主任としてこの任務に取り組み、同年の6月には実物大の木型を完成させた。

設計においては、いくつかの具体的な条件が設定された。まず、単座機としての特性を備え、急降下速度が800km/hに達し、空戦に必要な強度を保持することが求められた。さらに、エンジンには実用中のハ104を使用し、800kgの爆弾を搭載した場合の航続距離は600km、特別装備を施した場合には1200kmに達することが予定されていた。また、武装としては最低限20mm機関砲2門以上を装備し、急速量産に適した設計が求められたため、鍛造部品の使用を最小限に抑え、機械部品の数を削減するよう配慮された。さらに、整備が簡便に行えることも重視された。

計画された機体は、全幅約14m、全長約12m、重量は約6tで、外観は五式戦闘機を大型化したものとなる予定だった。機体構造は全金属製とし、当初は四式重爆撃機の簡易化・代替機として設計が進められ、エンジンはハ104を使用する方針であった。ただし、三菱重工業が四式重爆撃機の性能向上型（キ67-II）の実用化に成功した場合には、ハ214の装備も視野に入れられていた。加えて、既存機体の設計を流用することで開発期間の短縮を図り、稼働率向上のための整備の簡便化も考慮されていた。

戦闘用の武装は20mm機関砲2門を機首に設置する計画であった。木型の審査が終わると、次のステップとして試作機の製作を開始したが、戦局の厳しさから作業は進まず、結局設計原図の段階で敗戦を迎えることとなった。初めは、1945年9月に第1号機の試作が完成する予定であった。

スペック

• - 全長: 11.85m
• - 全幅: 14.00m
• - 全高: 4.50m
• - 翼面積: 31.9m²
• - 自重: 3,670kg
• - 全備重量: 5,980kg
• - 最大速度: 580km/h
• - エンジン: ハ214（ハ104の性能向上型）
• - 航続力: 1,200km（非爆装時は2,000km）
• - 上昇限度: 10,500m
• - 武装: 20mm機関砲×2、爆弾800kg
• - 乗員: 1名

（データは計画値）

参考文献

『歴史群像シリーズ 日本陸軍軍用機パーフェクトガイド 1910〜1945』（学習研究社、2005年）

関連項目

• - 大日本帝国陸軍兵器一覧
• - 日本製航空機の一覧
• - 爆撃機一覧

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