キ201 (航空機)

キ201「火龍」の概要

キ201「火龍」は、日本陸軍が第二次世界大戦末期に計画した初のジェット戦闘機です。この機体は、当時の同盟国であったドイツのメッサーシュミット Me262戦闘機を参考にしており、特にその設計が大きな影響を与えています。基本的な形状や構成は、胴体の三角形断面や双発エンジンの配置が特徴的で、これにより優れた空中機動性が期待されました。

とはいえ、キ201はMe262よりも一回り大きく、規模が異なります。また、海軍が計画した橘花とは異なり、火龍は攻撃性能を重視した設計がされています。特にボーイングB-29爆撃機に対抗するための防空機能と、連合軍艦艇や地上部隊への攻撃機能を兼ね備えた襲撃機として位置づけられていました。このため、火龍は日本軍が計画した唯一の純粋なジェット戦闘機となりました。

機体設計を担当したのは中島飛行機で、1945年には設計図が完成しましたが、実際の量産は戦争終結により進まないままでした。量産は第21製造廠で行われる予定で、試作機は18機の製作が計画されていました。また、機体の動力源は日立航空機と石川島飛行機製作所が担当し、エンジンには二つのタイプが考案されていましたが、終戦までに完成が実現することはありませんでした。

興味深いことに、2015年の6月には中島飛行機の研究所跡地で、キ201に搭載される予定だったとされるジェットエンジンの部品が発見されました。この部品は、「ネ230」という型式に属する可能性が高く、当時の技術や設計の一端を知る貴重な資料となっています。

諸元

• - 機種用途: 特殊防空戦闘機/戦闘襲撃機
• - 設計: 中島
• - 形式: 低翼
• - 乗員: 1名（操縦者）
• - 全長: 11.50 m
• - 全幅: 13.70 m
• - 全高: 4.05 m
• - 主翼面積: 25.00 m²
• - 全備重量: 7000 kg
• - 動力: ネ130 静止推力908 kg ×2
• - 最大速度: 852 km/h
• - 実用上昇限度: 12,000 m
• - 航続距離: 980 km
• - 武装:

- ホ5 20mm 機関砲 ×2（各200発搭載）
- ホ155-II 30mm 機関砲 ×2（各120発搭載）
- 500 kg爆弾 ×1 または 800 kg爆弾 ×1

このように、キ201「火龍」は、当時の戦局や技術を反映した重要な航空機として、実現しなかったもののその意義は大きいと言えるでしょう。

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