キ28 (航空機)

日本陸軍の戦闘機キ28

キ28は、第二次世界大戦前に日本陸軍のために試作された戦闘機で、その設計と開発は川崎航空機により行われ、主要な設計者は土井武夫です。この戦闘機は、1935年に導入された九五式戦闘機の後継機として位置付けられていました。

開発の背景

昭和10年、日本陸軍は九五式戦闘機の後継機の製作を中島、三菱、川崎の三社に指示しました。この方針のもと、川崎は試作機を開発し、昭和11年11月に完成させるに至ります。しかし、会同審査では中島のキ27（後の九七式戦闘機）と三菱のキ33と強い競争を繰り広げた末、キ28は不採用という結果に終わりました。

特徴と設計

キ28の特徴として、V型12気筒の液冷エンジンの搭載が挙げられます。このエンジンの選択は、他のライバル機体に対する性能面での優位性をもたらしました。機体は尾翼の操舵部分を除き全金属製で、低翼カンチレバー方式の単葉機という構造を持っていました。また、固定脚を例にとると、独自の設計が施されていました。

試験の結果としては、キ28は速度や上昇力、加速性において高い評価を受けましたが、高速飛行時における大きな旋回半径や、水冷式エンジンに対する信頼性の不安が取り上げられ、結局不採用となったのです。それでも、この試作機から得られた経験は、後のキ60やキ61（通称「飛燕」）の開発に役立てられました。

不採用後の運命

興味深い点として、キ28は試作機でありながら連合軍のコードネーム「Bob」が与えられていました。この理由は、連合軍が誤ってキ28を九七式戦闘機として認識したためです。また、キ28の設計は九五式戦闘機の性能向上プランの検討にも寄与しており、こちらも不採用となるものの、1937年に提案された改良型がキ28に非常に似た形状であることが確認されています。

スペック

• - 全長：7.90m
• - 全幅：12.00m
• - 全高：2.60m
• - 主翼面積：19.0m²
• - 自重：1420kg
• - 全備重量：1760kg
• - エンジン：川崎九五式800馬力発動機（水冷V型12気筒エンジン）
• - 出力：公称800hp
• - 最大速度：485km/h
• - 航続距離：1,000km
• - 実用上昇限度：11,000m
• - 武装：7.7mm機関銃×2
• - 乗員：1名

登場作品

キ28は漫画『天空少女騎士団』にも登場します。物語では、ドイツ、イタリア、スイスに囲まれた架空の国マリーエンエーエ公国の王女ジークリンデが、自らキ28戦闘機「リンドブルム号」を操縦し、少女たちから成る「航空騎士団」を率いるという設定です。キ28は競争に敗れた後、二号機が武器商人の手に渡り、ヨーロッパの小国に売られるというストーリーが展開されます。

関連項目

• - 戦闘機一覧
• - 九五式戦闘機
• - 九七式戦闘機
• - 三式戦闘機 飛燕

このように、キ28は歴史の中で重要な位置を占める戦闘機でしたが、その特異な特徴ゆえに不採用となった経緯があります。

もう一度検索