馬力

馬力とは

馬力（ばりき、英: horsepower）は、工率を表す計量単位で、さまざまな定義が存在します。具体的には、ヤード・ポンド法に基づく英馬力（メカニカル・ホースパワー）、メートル法に基づく仏馬力（メトリック・ホースパワー）が知られています。日本では特例として、仏馬力が認められており、735.5ワットと定義されています。また、国際単位系（SI）における工率の単位はワット（W）であり、馬力はSIの単位には含まれていません。

馬力の由来

馬力の名称は、元々、1頭の馬が発揮する仕事率に基づいています。1馬力は、荷物を引く馬が持続的に引く際の仕事率を基準にしており、必ずしも馬の瞬間的な最高出力を示しているわけではありません。馬力は、馬が定常的に出せる力を基準にしており、実際には瞬発的に数十馬力を叩き出すサラブレッドもいます。人間が瞬間的に発揮できる最大仕事率は約1馬力ですが、持続的には約0.14馬力です。

英馬力（HP）

馬力という単位は、蒸気機関の功率を表現するために、ジェームズ・ワットが設定したのが始まりです。1英馬力は、1秒間に550重量ポンド（lbf）の力で1フィート（ft）を動かす時の仕事率に相当します。この数値は、馬が180重量ポンドの牽引力で10,852フィートを1時間かけて進んだ場合の計算に基づいています。計算すると、1時間あたりの仕事率は1953,360フィート・重量ポンド/時となり、これを分速に換算すると約32,556フィート・重量ポンド/分となります。この数値を一般的な数に丸めると、33,000フィート・重量ポンド/分とし、最終的に1秒間で550フィート・重量ポンド/秒という結論に達します。この換算をワットで表現すると、1英馬力は約745.700ワットとなります。英馬力は、一般的にHpという略称で表されます。

仏馬力（PS）

仏馬力は、メートル法に基づいて英馬力に近づける形で定義されています。定義自体はシンプルで、「1秒間に75重量キログラム（kgf）で1メートル動かす時の仕事率」とされています。これに基づくと、1仏馬力は735.49875ワットですが、日本の計量法では735.5ワットとされています。このため、英馬力と仏馬力は異なる値を取ります。具体的には、1仏馬力（PS）は約0.98632英馬力（HP）に相当します。

日本における馬力

日本では1999年施行の計量法により、仏馬力が暫定的に採用されています。計量法の附則には、仏馬力は内燃機関に関連する取引で工率の法定計量単位として扱うと定められています。これは、SI単位を全面的に導入するための措置です。現在でも、自動車エンジンの出力を示す際には、キロワットとともに馬力が併記されることが一般的です。特に自動車産業では、英馬力（HP）や仏馬力（PS）が広く普及しています。

業務用エアコンにおける馬力

日本では、業務用エアコンの能力を「馬力」という単位で表すことがありますが、これは仏馬力や英馬力とは異なります。冷媒圧縮機を稼働させるためのモーターの出力を基にするものであり、当初は1馬力を約750ワットと定義していました。ただし、近年では冷却能力の効率化により、エアコンの実際の能力値は異なることが多くあります。通常の「馬力」との間には4倍弱の差があるため、注意が必要です。

まとめ

馬力は工率を示す重要な単位であり、さまざまな分野で活用されています。日本においては、特定の基準を持つ仏馬力が幅広く用いられ、特に自動車や大型空調機器の出力表示において重要な役割を果たしています。

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