キ31 (航空機)

キ31軽爆撃機とその背景

キ31は、大日本帝国陸軍が1930年代に計画した軽爆撃機の一つです。この機体の開発は、当時の軍事戦略や航空技術の進展と密接に関連しています。ここでは、キ31の概要や開発経緯、さらには同時期に計画された別の軽爆撃機、キ29についても触れていきます。

概要と目的

1935年（昭和10年）、陸軍は航空機の性能向上と戦術の変化に伴い、新たな軽爆撃機の開発を決定しました。この軽爆撃機は、敵の軍事施設や航空機を効果的に攻撃するために設計されており、主に地上で使用される航空機に対して大きな打撃を与えることを目的としていました。

さらに、この機体は単発エンジンを搭載し、戦闘行動の中で機動性を保ちながらも、強力な火力を有することが求められました。陸軍は、この新機体によって、空中優位を確保し地上部隊の支援を行うことを目指しました。

開発経緯

陸軍は1936年（昭和11年）2月に、競争試作方式を採用し、石川島飛行機に対してキ29、そして中島飛行機に対してキ31の設計指示を行いました。この際、陸軍が求めた要求性能は幾つかの重要な要素を含んでいました。具体的には、全備重量は3,200 kgを超えない範囲、エンジンはハ5、ハ6、ハ9IIのいずれかを使用し、最大速度は400 km/h以上、巡航速度は300 km/h、航続時間は4.5時間、そして常用高度は2,000 mから4,000 mとされました。

加えて、武装に関しては最大450 kgの爆弾に加え、固定機銃と旋回機銃をそれぞれ1挺ずつ備えることが求められました。こうした厳格な要求性能が設けられる中で、両機体の設計が進められました。

設計と中止

キ31は、低翼単葉の複座機として設計され、十分なペイロードを維持しつつ、安定した飛行性能と戦闘能力を備えることが意図されていました。しかし、1936年5月には設計の基礎審査の段階で計画が中止される決定が下されました。これは、当時の陸軍内での方針転換や、技術的な課題が影響したと考えられています。

なお、キ31と同じく研究指示がなされた機体の中には、三菱重工業が手掛けたキ30があります。この機体は、最終的に「九七式軽爆撃機」として制式採用され、実戦に投入されることとなりました。

まとめ

キ31の開発は、当時の陸軍の戦力強化を目指す一環として行われましたが、様々な理由から計画は中止となりました。この経緯は、当時の航空技術と軍事戦略の変遷を反映しており、航空機開発における競争と選択の厳しさを物語っています。航空機の設計と製造は、技術的な挑戦と共に、戦略的な要求に応じるものであったことを示しています。今後の研究や資料の整理が、新たな理解をもたらすことを期待します。

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