キ33 (航空機)

キ33：日本陸軍の戦闘機の試作機

キ33は、第二次世界大戦前に日本陸軍のために試作された戦闘機です。この機体は三菱重工業によって設計され、九五式戦闘機の後継機として期待されました。陸軍は中島や川崎と共にキ33の開発を競い合ったものの、最終的には中島が開発したキ27（後に九七式戦闘機として知られる）に敗れ、その結果不採用となりました。

開発の背景

1935年（昭和10年）、日本陸軍は既存の九五式戦闘機を更新する計画のもと、新たな戦闘機の試作を中島、三菱、川崎の三社に指示しました。当時、三菱はすでに九六式艦上戦闘機や九六式陸上攻撃機の開発に注力しており、独自に新機種を設計する余裕がありませんでした。このため、既存機であるキ18を基にした改良型の開発に取り組むことになりました。

このような状況から、キ33の開発に対する軍の姿勢には消極的な部分もあったと言われています。新型機の設計に必要な労力を確保することができなかったため、開発陣は迅速に作業を進める必要がありました。結果として、キ33の試作第1号機が1936年8月に完成しました。

機体の特徴と性能

キ33は基本的な形状についてはキ18に似ていましたが、大きな変更点としてエンジンがハ1というやや強力なものに換装されました。また、試作機の2号機には主翼に捩り下げが施されており、運動性能向上が期待されていました。この機体は1936年11月から1937年4月にかけて、他社の試作機と共に審査を受けました。

試験結果では、キ33は総合的に優れた性能を示したものの、運動性能においては他社の機体にやや劣っていると評価されました。こうした結果を受けて、陸軍は中島のキ27を選定。これによりキ33は不採用の運命を辿ることとなりました。

主なスペック

• - 全長：7.54 m
• - 全幅：11.00 m
• - 全高：3.19 m
• - 主翼面積：16.0 m²
• - 自重：1,132 kg
• - 全備重量：1,462 kg
• - エンジン：ハ1甲 空冷9気筒エンジン（620HP）
• - 最大速度：475 km/h
• - 武装：7.7mm機関銃×2
• - 乗員：1名

終わりに

キ33は日本の航空技術の発展の一端を担った試作機ではありましたが、最終的に採用には至りませんでした。陸軍機の開発競争が激化する中で、戦闘機の要求性能はますます厳しくなり、キ33もその波に流された形と言えるでしょう。日本陸軍の航空機史に名を刻むことはありませんでしたが、その開発の過程は当時の航空技術の進化を物語っています。

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