キ98 (航空機)

キ98（ききゅうはち）について

キ98は、第二次世界大戦中に日本陸軍によって計画されたレシプロ戦闘機です。この機体は、1943年（昭和18年）に満洲飛行機に対して試作指示が出され、当初は九九式襲撃機の後継機として設計されました。しかしながら、B-29の高高度爆撃に対する脅威が増大する中で、陸軍はキ98を高高度戦闘機に改設計することを決定しました。

この開発には実用性の追求よりも、空冷発動機の取り付け方法に関連する研究という側面が色濃く現れています。キ98はユニークな構造を持ち、特に単発の双胴型機体が特徴です。中央胴体の後部にはエンジンが設置され、尾部にはプロペラが装備されています。この設計は、当時日本海軍でも開発が進められていた閃電に似ているものの、キ98はやや小型でした。

搭載されるエンジンは、ハ211ルという排気タービン付きのもので、高高度での活動に対応するために気密室が設けられていました。空気抵抗を軽減する目的で、エンジンの冷却対策には強制冷却ファンが使用されており、冷却用の空気取入口は流線型にデザインされています。主翼には層流翼が採用され、高速飛行に利点をもたらしました。また、降着装置は三輪式であり、胴体部にある前脚の収納室がコックピットへの出入り口としても機能していました。

1943年12月に第1次モックアップが完成し、その後細かい修正を行った後、1944年の秋には胴体のモックアップ審査が行われました。しかし、その後すぐに陸軍の試作機整理の方針に触れる形で、キ98の開発は一時中止となりました。試作中の機体については製作を続行することが認められましたが、1944年末に奉天の工場が被爆した影響で作業が遅れ、実際の試作が始まったのは1945年に入ってからでした。

1945年8月には胴体部分がほぼ完成していたものの、終戦直前におけるソ連軍の満洲侵攻を受けて、製作中の機体とその図面は焼却されてしまいました。これにより、キ98は実際には完成を見ることがなく、戦局の変化に翻弄された悲運の機体となったのです。

スペック

• - 全長：11.40 m
• - 全幅：11.26 m
• - 全高：4.30 m
• - 翼面積：24.00 m²
• - 翼型：FM系層流翼
• - 主翼取付角：約2度
• - 重量：3500 kg
• - 全備重量：4500 kg
• - 発動機：ハ-211-ル空冷星型18気筒
• - プロペラ直径：3.6 m（4翅）
• - 出力：2200hp
• - 最大時速：710 km/h
• - 航続力：2000 km
• - 上昇力：5000 mまで5分30秒
• - 最高上昇限度：10500 m

武装

• - 37mm 機関砲 x1
• - 20mm 機関銃 x2
• - 乗員：1名

戦闘機キ98はその特異な設計と背景から、航空機史の中で特別な位置を占める存在となっています。

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