キ99 (航空機)

キ99について

キ99は、大日本帝国陸軍が計画した局地戦闘機で、戦局の厳しさが増す中、戦闘機の性能向上が不可欠とされていました。1943年、陸海軍のニーズに応える形で、共同の試作機となる近距離戦闘機の開発が指示されました。特に、速度や上昇力を重視した要望が寄せられ、794 km/hという目標速度と高度4,000 mから11,000 mにわたる運用能力が求められました。また、行動半径は最大800 kmであり、巡航1時間と全力での飛行時間30分を確保するという条件も付け加えられました。

武装についても要件が厳格で、20mmの機関砲を2門、また30mmの機関砲を1から2門装備することが求められました。43年の陸軍の方針では、さらに40mm機関砲や軽微な爆撃機能についての研究も進めることが期待されていたため、キ99は多用途に対応できる戦闘機の設計を目指したものとなります。

この航空機の開発は、三菱重工業に委託され、エンジンには三菱「ハ211」または「ハ211ル」空冷星型18気筒エンジンが計画されました。飛行の性能を高めるために、単座単発機としての設計が進められました。1946年の3月に審査を完了する予定でしたが、開発過程での作業停滞や軍の方針変更などにより、1944年5月には開発が中止されてしまいました。実際に試作機の製作には至らず、結果としてキ99は幻の戦闘機とも言える存在となったのです。

諸元

キ99についての計画値は次の通りです。

• - エンジン: 三菱ハ211 または ハ211ル（空冷星型18気筒、離昇出力2,200 hp）
• - 最大速度: 700 km/h以上（目標）
• - 常用高度: 10,000 m（目標）
• - 武装: 30mm機関砲 × 2、20mm機関砲 × 2
• - 乗員: 1名

これらの要求は、時代背景や戦局によって大きく左右されましたが、惜しくも具体化には至りませんでした。キ99のような戦闘機の計画は、戦争の進展に伴って航空機開発の様々な課題を浮き彫りにしました。

参考文献

• - 佐原晃著『日本陸軍の試作・計画機 1943〜1945』(イカロス出版、2006年)
• - 歴史群像編集部編『決定版 日本の陸軍機』(学研パブリッシング、2011年)
• - 秋本実著『日本陸軍試作機大鑑』(酣燈社、2008年)
• - 粟野誠一他編『日本航空学術史（1910－1945）』(日本航空学術史編集委員会、1990年)

このように、キ99は戦闘機開発の一端を象徴するものとして、その姿は現れることはありませんでしたが、航空機の設計思想やその必要性を理解する上で重要な事例となっています。

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