ギター協奏曲 (ヴィラ＝ロボス)

ギター協奏曲（ヴィラ＝ロボス）

ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ＝ロボスによって1951年に作曲されたこの「ギター協奏曲」は、独奏ギターと小編成の管弦楽のために書かれた重要な作品です。しばしば「ギターと小管弦楽のための協奏曲」とも称されるように、独奏楽器であるギターの繊細な音色を際立たせるための、抑制されたオーケストレーションが特徴の一つとなっています。演奏時間は概ね20分程度を要します。

作曲の背景と経緯

ヴィラ＝ロボスとギターとの関わりは深く、特に20世紀を代表するスペインのギタリスト、アンドレス・セゴビアとの交流がこの協奏曲を生む上で重要な役割を果たしました。作曲家は1929年にセゴビアへ「12の練習曲」を献呈しており、両者の間には既に緊密な関係がありました。その後、セゴビアからギター協奏曲の作曲を依頼されたヴィラ＝ロボスは、この要望に応える形で本作の創作に着手しました。

当初、この作品は「協奏的幻想曲（Fantasía Concertante）」として構想されており、独奏者の技巧を披露するカデンツァは含まれていませんでした。しかし、後にセゴビアの演奏のためにカデンツァが付加され、現在の「ギター協奏曲」という形に改められました。この改訂を経て、独奏ギターの表現力がより豊かに引き出されることとなりました。

初演

作品の初演は、改訂後の形で1956年2月6日に行われました。独奏は本作の作曲を依頼したセゴビア自身が務め、その卓越した演奏によって聴衆に披露されました。ヨーロッパにおける初演は、翌年の1957年にBBC放送を通じて行われ、こちらはイギリスの著名なギタリスト、ジュリアン・ブリームが独奏を担当しました。

楽曲の構造

この協奏曲は、以下の楽器編成で演奏されます。

独奏：ギター
管弦楽：フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トロンボーン、弦五部（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスからなる弦楽器群）

標準的な三楽章構成を採っており、各楽章は以下のような特徴を持ちます。

第1楽章：アレグロ・プレチーソ (Allegro preciso)

4分の4拍子で書かれており、「正確に、精密に」という意味合いを持つ速度記号「Allegro preciso」が付されています。楽章全体はソナタ形式に基づき構成されていますが、それをさらに四つの部分に分けることが可能です。

第2楽章：アンダンティーノ ― アンダンテ (Andantino – Andante)

ホ短調で始まり、比較的ゆっくりとしたテンポで進行します。拍子は3/4拍子で開始し、途中で6/8拍子を経て再び3/4拍子に戻るなど、変化が見られます。楽曲構造としては、三部形式を基盤としています。

第3楽章：アレグロ・ノントロッポ ― ヴィーヴォ (Allegro non troppo – Vivo)

「速すぎないアレグロ」で始まり、後に「活発に」を意味する「ヴィーヴォ」へと速度が変わる楽章です。拍子も2/4拍子から3/8拍子、そして6/4拍子へと変化に富んでいます。リズミカルで躍動感のある音楽が展開されます。

この協奏曲は、ギターという楽器の持つ可能性をオーケストラとの対話の中で最大限に引き出した作品として、今日でも重要なレパートリーの一つとなっています。

（注：この文章は提供された情報を基に辞書記事として記述したものであり、詳細な音楽分析や解釈を含むものではありません。）

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