フルート

フルートの概要

フルートは木管楽器に分類される楽器で、リードを使わないエアリード式の横笛です。一般に「フルート」というと、金属製のコンサート・フルートを指しますが、歴史的には笛全般を示していました。ルネサンスからバロック時代にかけては、現代のリコーダーを指すことが多く、今のフルートは「トラヴェルソ」と呼ばれていた横笛の進化系です。17世紀後半には、フランスで改良されたフルートの人気が高まり、後に世界へと広まりました。

現代のフルート

現代のフルートは、通常C管で構成されており、バス・フルート等と区別するためにグランド・フルートとも呼ばれます。ドイツ人のテオバルト・ベームによる改良が19世紀半ばに行われ、それによりフルートは正確な半音階、豊かな音量、美しい外見を持つ楽器に進化しました。このため、ベーム式フルートが広く使われるようになり、「フルート」と呼ばれる際にはこのスタイルが前提となっています。

フルートは演奏時、両肩の線と平行ではなく、奏者はやや左側に向き、唇を歌口に当てます。リードを使わないため、流れるようなタンギングが可能で、高速な楽句の演奏も容易です。フルートの音色は、様々な音域を持ちながらも明瞭で、オーケストラの中でもその音が埋もれにくい特徴があります。その音色は多くの場合、鳥の鳴き声を模した楽曲に使用されることが多く、サン＝サーンスの『動物の謝肉祭』の「大きな鳥籠」などが代表例です。

フルートの使用用途

クラシック音楽を中心に使われていますが、近年ではジャズやロックなど他の音楽ジャンルでも取り入れられるようになりました。ただし、ジャズ専用のフルート奏者は少なく、しばしばサクソフォーン奏者が使用したり、クラシックとジャズ両方で活動する奏者も多いです。

フルートの歴史

フルートの起源を辿ると、4万年前のネアンデルタール人が作った骨笛まで遡ることができます。古代の笛は主に縦笛であり、通常は葦や木で作られていました。現代のフルートの運用形は、紀元前9世紀の中央アジアからシルクロードを経て広まったとされます。

フルートが西洋での地位を確立するのはルネサンスからバロック時代にかけてのことです。13世紀になると、フルートはドイツで「ドイツの笛」として使われ、以降に制作されたフッラウトトラヴェルソなど、ますます一般的な楽器となります。

発音の原理

フルートの音は、唇から出る空気の束を歌口の縁に当てることで発生するカルマン渦や、管内圧の変化により生じます。音域は基本的にC4からC7まで及び、特別な足部管を用いることで最低音がさらに下がることがあります。

現代奏法

現代の演奏ではさまざまな特殊奏法が開発されており、フルートは近代音楽や現代音楽において特に重視されています。エオリアントーンやハーモニクスなどの技法を使って音楽にアプローチしています。特に、ビブラートが豊かに使用され、技巧的な表現が評価されている点が重要です。

まとめ

フルートは、その歴史の長さから様々な改良が重ねられ、現代音楽においても多様な表現が求められる楽器です。木管楽器の中では非常に論理的に設計されているものの、演奏者の技術によって多くの音楽表現が可能であり、特に高音域においては微妙な調整が求められます。

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