ギニー

ギニー(guinea)について



ギニーは、イギリスでかつて流通していた金貨で、21シリングの価値を持っていました。この貨幣の名称は、ギニアという地域で産出された金から作られたことに由来しています。ギニーが初めて作られたのは1663年のことで、それまで存在した様々な金貨(ノーブル、ソブリン、クラウン、ユナイト、リアル、エンゼル、ローレルなど)を統一する目的で鋳造されました。1717年には、この金貨の価値が21シリングであると正式に定められました。

興味深いことに、ギニーの発行を主導したのは、著名な物理学者であるサー・アイザック・ニュートンでした。1816年には新たにソブリン金貨が発行されたことで、ギニーは次第に使われなくなっていきましたが、1971年に十進法に移行するまで、医師や弁護士への謝礼や品物の鑑定、土地や馬の取引などにおいて、ギニーは依然として使用されていました。

ギニーの換算関係は非常に興味深いものです。1ギニーは21シリング、100シリング(1ポンド)の1シリング分が余分に加算されるため、実質的には1ギニーが1ポンドよりも価値がひとつ多いことになります。この余分なシリングは、当時の商取引において、いわゆる「心づけ」の意味合いを持っていました。例を挙げると、500ポンドの取引に500ギニーで支払うと、500シリングも余計に支払うことになり、これは売り手に対する感謝の表れとも解釈されました。ただし、この機能は意図的なものではなく、1717年の当時の金銀の交換比率によって決まった偶然の結果です。

また、500ギニーは、実際には525ポンドを意味します。これにより、売り手は実際の支払い額を気持ち少なく見せることができるという点も利点です。この「おまけ分」は、特に馬の売買において、仲介者への手数料に充てられることが多く、例えば1000ギニーの取引であれば、「1000ポンドに加えて1000シリングのチップを支払います」という趣旨が示されています。

ギニーはその後も伝統的なセリ市で馬の取引価格を示す際に好まれて用いられることが多く、特にイギリスではその使用が見受けられます。英語では通貨単位が複数形で表記されるため、1000ギニーというと「1000 guineas」となります。

ギニーという存在は、イギリスにおける歴史的な通貨制度の象徴のひとつであり、その名は現在の競馬のレース名(2000ギニー、1000ギニーなど)にも引き継がれています。ギニーの廃止後、新たな通貨単位が登場する中でも、歴史的な背景を残す形でその名称が今なお使われているのは興味深い事実です。

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