ギュスターヴクライ

ギュスターヴクライ：クラシックへの挑戦と大金星、そして第二の馬生

ギュスターヴクライ (Gustave Cry) 。2008年3月21日生まれの競走馬は、その名をフランスの画家ギュスターヴ・モローと父馬の名に由来する、芸術的な響きを持つ名前を持つ。その競走生活は、華々しいデビューとは異なり、地道な努力の積み重ねによって彩られたものだった。

2010年11月、2歳でデビューを迎えたギュスターヴクライは、初戦こそ6着に終わるものの、3歳となった2011年1月に嬉しい初勝利を挙げる。その後も順調に勝ち星を重ね、東京競馬場の500万下条件戦も制覇し2連勝を飾った。しかし、弥生賞、青葉賞と春のクラシック挑戦は結果に恵まれず、クラシックへの道は閉ざされた。

その後も1000万下条件戦で善戦を続け、12月の中山競馬場での1000万下条件戦で3勝目を挙げた。4歳となった2012年、早春ステークスを制し、遂にオープン入りを果たす。続くダイヤモンドステークスで2着と好走し、勢いそのままに挑んだ3月の阪神大賞典で、衝撃的な勝利を収めた。

阪神大賞典は、前年の三冠馬オルフェーヴルも出走する豪華メンバーが揃っていた。レースは、オルフェーヴルが3コーナーで一時逸走するアクシデントに見舞われた。その混乱の中、ギュスターヴクライは抜け出し、直線で追い上げてきたオルフェーヴルを半馬身差退けて優勝。「大金星」と称される重賞初制覇であった。

この勝利は、ギュスターヴクライの努力と才能が結実した瞬間だったと言えるだろう。決して恵まれたスタートを切ったとは言えない競走生活の中で、着実に力をつけてきた証である。しかし、その後は天皇賞（春）5着、京都大賞典3着、アルゼンチン共和国杯6着と勝ち星に恵まれず、アルゼンチン共和国杯のレース中に右前浅屈腱不全断裂を発症。競走能力喪失の診断を受け、2011年11月8日付で競走馬登録を抹消された。

華々しい勝利の後、競走馬としての幕を閉じたギュスターヴクライ。しかし、彼の物語はそこで終わらなかった。引退後は、滋賀県東近江市の忍者ホースクラブ（後にVigorous Stableと改名）で乗馬として第二の馬生を歩み始める。乗馬としての供用の他、休養中の競走馬に対する調教パートナーも務めるなど、その経験と穏やかな性格を生かして活躍している。2022年5月からは、同牧場で引退名馬繋養展示事業の対象馬にも選ばれ、多くの人々に愛される存在となっている。

ギュスターヴクライの血統には、1996年の秋華賞優勝馬であるファビラスラフインの名が記されている。母方の血統を受け継ぎ、その才能を競走馬として、そして引退後も余すことなく発揮し続けている。彼の生涯は、努力と才能、そして第二の馬生という新たな挑戦によって彩られた、感動的な物語である。

彼の競走成績は、JBISサーチ、netkeiba.comなどで確認することができる。また、引退名馬としての情報も、名馬.jpなどで閲覧可能だ。

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