ギルボア山

ギルボア山は、イズレエル平野の南東に位置する標高518mの山であり、その周辺の山岳地帯を指す名称でもあります。ヘブライ語で「丘陵地帯」を意味するとされ、最高峰はベテ・シャンの西9kmに位置するジェベル・フクアです。エスドラエロン平原の東方に弓なりに展開する尾根は、キション川とヨルダン川の分水嶺となっています。

ギルボア山は、聖書の歴史において重要な場所です。サウル王がペリシテ人との戦いの際に陣を構えた地であり、この戦いでイスラエル軍は敗北し、サウル王自身も息子のヨナタン、アビナダブ、マキ・シュアと共に戦死しました。この悲劇的な出来事は、旧約聖書に記されており、ギルボア山の名を知らしめることとなりました。

サウル王の死後、ダビデ王はギルボア山で命を落としたサウル王を悼み、この山を呪ったと伝えられています。その呪いのために、現在でもイスラエル政府による緑化政策が行われているにもかかわらず、植物が育ちにくい不毛の地であるという伝説が残っています。ただし、近年では植林活動の成果もあり、徐々に緑が回復しつつあるようです。

ギルボア山は、地理的にも戦略的に重要な地点でした。王の道とヨルダン川から地中海へと続く通路上に位置していたため、歴史的に度々戦場となりました。そのため、この地域は多くの戦乱の歴史を刻んでおり、その痕跡が今もなお残っています。

ギルボア山は、その歴史的、宗教的な重要性から、多くの人々に知られています。聖書の物語に登場する場所として、また、呪いの伝説が残る神秘的な場所として、訪れる人々に深い印象を与え続けています。現在では、ハイキングコースなども整備され、自然を楽しむ人々も訪れています。ギルボア山は、その豊かな自然と歴史が織りなす独特の魅力を持つ場所と言えるでしょう。

参考文献:
『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年
デレック・プリンス『呪いから祝福への道』,faith ministries,1986年

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