ギンザメ

ギンザメ（銀鮫）

ギンザメ（学名: Chimaera phantasma）は、ギンザメ目に属する特異な魚類で、一般的にはギンブカとも呼ばれています。主に太平洋北西部の海域に生息しており、特にロシアや日本近海からフィリピン、ボルネオ島周辺で見られます。また、ニューカレドニアでも観察されることがあります。

特徴

この魚の名前は、ギリシャ神話に登場する怪物・キマイラに由来しており、その名の通り、非常にユニークな外観をしています。全長は約1.1メートルに達し、体色は美しい銀白色です。ギンザメの特異な点は、サメやエイとは異なり、鰓孔が一対しかないことです。このため、見た目はサメに似ているものの、異なるカテゴリーに分類されます。

大きな胸鰭を持ち、海底近くを上下に羽ばたくようにして遊泳します。また、背鰭の前方には一本の毒腺を持つ棘があります。この棘に刺されると痛むことがありますが、人間に対する毒性は比較的弱いとされています。そのため、取り扱いには注意が必要です。ギンザメの歯は特に硬いもので、底にいる貝や甲殻類をすり潰すのに適しており、主にこれらを餌として捕食しています。

繁殖方法は卵生で、雄は頭部に鈎状の突起を持っており、交尾時に雌を押さえつけるために使用します。この戦略的な特徴も、他の多くの魚類とは異なる点と言えるでしょう。

人間との関係

残念ながら、ギンザメは漁業による混獲により、生息数が減少していると考えられています。この事実は、環境省のレッドリストによる分類で「情報不足（DD）」に該当しています。日本の九州地方では「ギンブカ」という名称で流通しており、魚介類加工品やフカの湯引きなどで親しまれています。また、かまぼこや練り製品などの材料としても利用されることがあります。

ギンザメは生きたままで漁獲されることもあるため、時折水族館での展示も行われています。たとえば、2019年には長崎ペンギン水族館で2匹のギンザメが展示された事例があります。ただし、長期飼育は難しく、鴨川シーワールドでは、2006年に捕獲された個体が最長317日間飼育された記録を持っています。2019年にも新たに捕獲された個体が展示されたことがあり、こうした状況からも需要の高い存在と言えます。

ギンザメの背鰭にある毒棘は大きいため、取り扱う際には慎重さが求められます。この独特な魚は、神秘的な魅力を持ちながらも、その生息環境が脅かされているため、今後の保護や研究が求められています。

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