ギンピ・ギンピ

ギンピ・ギンピ (Gympie gympie)

ギンピ・ギンピ（学名：Dendrocnide moroides）は、イラクサ科に属する植物で、特にオーストラリア北東部の熱帯雨林に自生しています。英語では「スティンギング・ブラッシュ」や「ザ・スーサイド・プラント」と呼ばれることからも、その毒性が窺えます。この植物は、全体が尖った刺毛に覆われており、触れることによって激しい痛みを引き起こす神経毒を分泌します。特に、オーストラリアに自生する植物の中でも最も毒性が強いとされます。ただし、果実は刺毛を取り除ければ食用になるため、利用価値も存在します。

生態

ギンピ・ギンピの花序は雌雄同株で、小さな雄花に囲まれる形で雌花が配置されています。果実は受粉の後に膨らみ、熱帯雨林の境界部分で早期に群落を形成します。この植物は、土壌の撹拌後に新たに現れた日光の当たる場所で発芽するため、特有の生態を持っています。クイーンズランド州では一般的な種でありますが、南部オーストラリアでは希少であり、ニューサウスウェールズ州では絶滅危惧種に指定されています。

また、同じイラクサ科に属する植物として、Dendrocnide excelsaやDendrocnide photinophyllaがありますが、これらは高木になります。

毒性

ギンピ・ギンピの刺毛の先端は、皮膚を突き刺す構造になっており、この刺激が非常に強烈な痛みを引き起こします。1963年、研究者のアーニー・ライダーはこの植物によって顔と胴に重傷を負い、その痛みを「耐えられないほど」と表現しています。初期の研究では、さまざまな化合物がその原因物質であると考えられていましたが、後の研究で、真の原因は「ギンピエチド」という小さなタンパク質であることが明らかになりました。このギンピエチドは、痛みの感覚を引き起こす分子であり、有害物質として多くの動植物に影響を与えます。

他にも、ギンピ・ギンピの刺毛の効果は次世代の研究によっても理解されており、小型有袋類や虫、鳥類には影響を及ぼさないことが確認されています。実際に、2006年には痛みを引き起こさない個体も発見されています。

アレルギー症状

この植物に長期間さらされた研究者は、くしゃみや鼻水、さらには重度のアレルギー反応を経験しています。そのため、ギンピ・ギンピの近くでの研究活動には慎重さが求められます。

逸話

実際には、ギンピ・ギンピの葉をトイレットペーパーとして使用することが言われることがありますが、これは実際には非常に危険な行為です。このような逸話は、単なる言い伝えと考えられています。ただし、馬がこの植物に刺された後に暴れることがあり、さらには射殺が必要になるケースも記録されています。

治療

もしギンピ・ギンピの刺毛に触れてしまった場合、希釈した塩酸の塗布や、ワックス脱毛による刺毛の除去が推奨されます。それが不可能な場合は、粘着テープやピンセットを利用して刺毛を取り除く方法がありますが、この際には慎重に扱う必要があります。

まとめ

ギンピ・ギンピはその美しい見た目とは裏腹に、非常に危険な植物です。日常的に存在する場面では無視することはできませんが、適切な知識を持つことで、リスクを軽減することができます。

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