クアンタム社の歴史と事業展開:デジタルデータストレージのパイオニア
クアンタム社は、デジタルコンテンツの保存、管理、共有のための技術とサービスを提供する世界的
企業です。1980年の設立以来、ストレージ業界において重要な役割を果たし、数々の買収や事業転換を経て、現在に至っています。
初期は8インチ
ハードディスクドライブで市場をリードしていましたが、5.25インチへの業界シフトに対応できず、一時的に苦戦を強いられました。しかし、3.5インチドライブ開発に成功したPlus Development Corporationの子
会社化を経て再興、1994年には世界最大のドライブ製造
会社に成長しました。その後、市場環境の変化に対応するため、2001年に
ハードディスクドライブ事業を売却。現在は、統合ストレージシステム、特にテープストレージ、ディスクバックアップシステム、オブジェクトストレージに注力しています。
主要な買収と技術革新
クアンタム社の成長には、数々の買収が貢献しています。特に、1994年のDECのデータストレージ部門の買収、2006年のADIC(アドバンスド・デジタル・インフォメーション・コーポレーション)買収は、テープライブラリ技術やデータ重複排除技術の獲得につながり、事業拡大の大きな推進力となりました。さらに、近年では、Western Digital社のActiveScaleオブジェクトストレージ事業や、Square Box Systems Ltd.、Pivot3 Surveillance部門の買収など、クラウドストレージ領域への積極的な投資を続けています。これらの買収を通じて、クアンタム社は自社の製品ポートフォリオを強化し、市場における競争力を高めてきました。
主要製品群
クアンタム社は、多様なストレージソリューションを提供しています。
StorNextファイルシステム
StorNextは、ビデオ編集や大規模な画像データの管理に最適化された高性能共有ストレージ製品です。高速なストリーミング性能とデータアクセスを提供し、Apple、Windows、Linux環境に対応。テープストレージとの連携も可能です。
NVMeストレージアレイ(Fシリーズ)
高速なNVMe SSDフラッシュストレージアレイで、動画コンテンツや大規模な非構造化データの処理に最適。高性能RDMAネットワークに対応し、ワークステーションとの直接アクセスを実現することで、データ処理速度の大幅な向上が期待できます。
テープストレージ
LTOテープを採用したScalarシリーズは、長期アーカイブに適した信頼性の高いテープライブラリです。LTFS(Linear Tape File System)対応により、テープ上のデータへのアクセス性も向上しています。中小
企業向けのi3シリーズから、大規模データセンター向けのi6シリーズまで、幅広いニーズに対応した製品が提供されています。
ディスクバックアップ(DXiシリーズ)
DXiシリーズは、データ重複排除技術を搭載したディスクベースのバックアップ・リカバリ製品です。高いデータ削減率を実現し、ストレージコストの削減に貢献します。中小
企業からエンタープライズまで、さまざまな規模の
企業に対応したモデルが用意されています。
仮想マシンデータ保護(vmPRO)
vmPROソフトウェアは、仮想マシンのバックアップとリカバリを簡素化します。既存のバックアップアプリケーションと連携し、VMの自動検出やファイルシステムビューの表示により、VMやVM内のファイルを効率的にバックアップできます。
オブジェクトストレージ(ActiveScale)
ActiveScaleは、スケールアウト型のオブジェクトストレージシステムです。大量の非構造化データを効率的に管理・保存でき、クラウド環境との連携にも適しています。
まとめ
クアンタム社は、長年にわたる経験と技術革新、そして戦略的な買収によって、ストレージ業界における確固たる地位を築いています。多様なストレージソリューションを提供することで、幅広い顧客のニーズに応え、デジタルデータの保存、管理、共有における課題解決に貢献しています。今後も、クラウドストレージ技術への投資や製品ポートフォリオの拡充を通じて、デジタルデータストレージ分野をリードしていくことが期待されます。