クイーン・ヴィクトリア (客船)

クイーン・ヴィクトリア（MS Queen Victoria, QV）

クイーン・ヴィクトリアは、2007年に就航したキュナード・ラインの最新のクルーズ客船であり、その船籍はイギリスにあります。船名は、イギリスの黄金時代を象徴する女王、ヴィクトリアにちなんで名付けられました。この船は、イタリアのフィンカンティエリによって建造され、他のビスタクラスの客船と基本設計が共通していますが、全長90,049GTで、キュナード社の中では最も小型の客船です。

船の概要と設備

クイーン・ヴィクトリアは、1007室の客室を備え、そのうち864室が海を望む設計になっています。船内には、7つのレストランや13のバー、3基のプールに加え、大宴会場や映画館も完備されています。また、健康維持のためのアスレチックジムも設立され、新興国の富裕層をターゲットにしています。

この船の設計は、イギリスの伝統に倣い、船体は重厚な鋼板で覆われていない点が特徴です。特に、大西洋の荒波に対応するため、船首部には頑丈な鉄板が使用されています。公試運転は2007年8月に地中海で開始され、同年12月7日にはイギリスの母港サウサンプトンで命名式が執り行われました。命名者に選ばれたのは、コーンウォール公爵夫人（後の王妃）で、多くの期待を背負った船の船名が発表されました。

クルーズと航海

クイーン・ヴィクトリアの初航海は、2007年12月11日に行われ、北欧を目指しました。その後、カナリア諸島へも航海し、世界一周旅行も計画しました。この旅行は107日間にわたりましたが、特に初期の区間では、クイーン・エリザベス2（QE2）と共に航行し、ニューヨーク港に入港しました。特筆すべきは、この入港時にQE2後のキュナード社の3姉妹船が同じ港に揃ったことです。それ以降も、クイーン・ヴィクトリアは様々なイベントに参加し、同社の他の船と共に特別な航海を行ってきました。

経歴と改装

日本への寄港は2009年3月5日に長崎港に初めて寄り、世界中のクルーズ愛好者から人気を集めました。また、2010年には女性船長インガー・クライン・オルセンが就任し、キュナード社初の女性船長となりました。加えて、クイーン・ヴィクトリアは、船上での結婚式のニーズに応え、2011年にはバミューダ諸島を母港に転籍しました。

船は2017年に大規模な改修を行い、客室を新設。更に最新設備が追加されました。これにより、定員も増加し、クルーズ体験がさらに豊かになりました。このように、クイーン・ヴィクトリアは艦船技術とラグジュアリーな航海体験を両立させ、長い航海の中で数々の魅力的な冒険を提供してきたのです。

船体と技術

基本設計は、カーニバル・コーポレーションのホランド・アメリカ・ライン向けに設計されたものを基にしており、ヴィスタ・クラスの一員です。さまざまな技術的な改良がなされ、特に風速や波高に強い設計が施されています。また、推進システムは重油を使用し、環境基準も考慮されています。

クイーン・ヴィクトリアは、彼女の後の航海やイベントの中で、数々の冒険と経験を積んできただけでなく、その名に恥じない優雅な船旅を提供し続けています。

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