クサフグ

クサフグについて

クサフグ（草河豚、学名：Takifugu alboplumbeus）は、フグ目フグ科に属する魚で、その名は背面が緑色っぽいために付けられています。この魚は釣り人からあまり好かれておらず、その理由は主に餌を横取りする巧妙さと、後述する毒性にあります。

特徴

この魚の体長は一般的に10〜25cm程度で、特に注意が必要なのはその体内に含まれるテトロドトキシンという毒素です。この毒素は主に内臓、皮膚、特に肝臓、腸、卵巣に多く含まれますが、筋肉や精巣に含まれる毒性は比較的弱いとされています。味は淡泊で多くの人にとって美味とされ、食材として利用されますが、毒が致死量に達する危険があるため、過剰摂取は避けるべきです。「当たったら身の終わり」というだじゃれから、他のフグとともにナゴヤフグ（名古屋フグ）とも呼ばれています。

その皮膚は、背中が暗緑色で白い小さな点々が特徴的で、腹面は白い色をしています。また、胸鰭の上部と背鰭の付け根に黒い斑点が見られ、小さな刺も存在しています。

生息地

クサフグは、北海道の南部から九州の南岸、八丈島や沖縄諸島の一部、さらには朝鮮半島沿岸、渤海、中国大陸の沿岸、台湾に至るまで、幅広い地域に分布しています。主に浅い岩礁、砂地、さらには汽水域に多く生息していますが、時には河川の下流域にも出没します。興味深いことに、クサフグはほぼ塩分濃度のない真水の河川中流域にも遡上することがあり、その際にはアユの友釣りに掛かることがあります。この行動には謎が多く残されていますが、体に付着した寄生虫を取り除くためではないかとも考えられています。

クサフグは体に鱗を持たず、細菌に対する抵抗力が弱いため、真水に入ることで体についた細菌を取り去るために粘液を分泌しながら過ごしていると推測されています。泳ぎ方は他のフグ科の魚と同様に、胸鰭、尻鰭、背鰭を使って羽ばたくようにして泳ぎますが、素早くは泳げないという特徴があります。

産卵行動

クサフグの産卵は、5月から8月の新月や満月の日に行われ、岸に大群で押し寄せて実施されます。産卵の前には、いくつかの魚が偵察として産卵場所に現れ、安全性を確認します。確認が取れ次第、産卵が始まり、メスが卵を産み付けると、オスが一斉に放精し、波打ち際が白く濁る様子が見られます。このプロセスは約1時間続き、卵は直径0.5mm程度で丈夫な殻を持っており、干潮時の乾燥にも耐えることができます。卵は8〜9日後に孵化しますが、多くはハゼなどに捕食されることが多いです。

別名

クサフグは砂に潜る習性から「スナフグ」とも呼ばれ、また「チイチイフグ」や「アカメフグ（赤目河豚）」という別名も持っています。

このように、クサフグはその独特の生態や特徴から、興味深い魚でありながら、飲食に際しては注意が必要な存在でもあります。

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