寄生虫(きせいちゅう)
寄生虫とは、特定の
動物に
寄生する生物のことを指し、
寄生動物とも呼ばれます。一般的には、
宿主と呼ばれる
寄生される生物に依存して生きており、その生活様式は多様です。
寄生虫は、外部
寄生虫(体表面に付着)と内部
寄生虫(体内に住み着く)の二つに大別され、内部
寄生虫が指されることが多いですが、外部
寄生虫も含まれる場合があります。特に、独特な
寄生習性を持つ生物は注意を要します。例えば、
カ・
ブユなどの吸血性
昆虫は一時的に
宿主に付着しますが、
寄生虫学の観点では
寄生虫に
分類されることがあります。
寄生虫は多様な
動物門に属し、約30の
動物門のうち約半数に
寄生性の生物がいるとされています。中でも中生
動物、類線形
動物、鉤頭
動物、舌形
動物は全てが
寄生性であり、
寄生虫の進化は自由生活の生物から数多くの系統で独立して進行したと考えられています。
寄生虫が
寄生生活に適応する過程で、器官の形態に大きな変化が生じることが多く、消化器官や感覚器官、運動器官が
退化し、吸収や附着、生殖に関連する器官が発達します。この変化により、
寄生虫は自由生活の生物とは異なる独自の形態を持つことになります。
特徴と生態
寄生虫は
宿主との関係において特異な生態を持っています。特に内部
寄生虫は、
宿主間の移動が重要です。たとえば、ヒトに
寄生する
ギョウチュウは、
宿主の体内で産卵する際にかゆみを引き起こし、他の
宿主に移動させる手段を持っています。
食物連鎖を利用するケースもあり、例えば
ハリガネムシはその
生活環の一部で水生
昆虫を経由して
カマキリに
宿主が捕食されるのを利用します。
寄生虫の
生活環は複雑で、
中間宿主と終
宿主の二つの役割を持つことが多いです。このような
寄生虫は、
生活環の一部でのみ
寄生生活を行う場合もあります。
日本の戦後の時期において、
寄生虫は「国民病」として知られていましたが、近現代の食生活の変化によりその保有率は低下しています。特に化学
肥料の普及により、
寄生虫感染の機会が減少していますが、動
植物の生食が増えることで新たな
寄生虫症例が増加する懸念もあります。
さらに、
寄生虫は
宿主の行動に影響を与えることも知られており、例えば
トキソプラズマはマウスの行動を変えることが確認されています。また、
サナダムシは
アレルギー反応を抑制する効果があるとされ、
寄生虫の利用に関する研究も進められています。
代表的な寄生虫
ヒトに
寄生する外部
寄生虫には、
ノミや
シラミ、内部
寄生虫としては
カイチュウや肝臓ジストマなどが含まれます。
動物に
寄生するものも多岐にわたり、特に
昆虫や線形
動物、扁形
動物においてさまざまな種類が確認されています。これらの
寄生虫について研究や知識を深めることは、
寄生虫学や生物学的な理解を進めるうえで重要です。
このように、
寄生虫は非常に多様な生物群であり、その進化や生態、ヒトとの関連性について理解することは、生態系や健康にとって非常に重要です。