クスコ・アル

クスコ・アル: 機動戦士ガンダムIIの架空のキャラクター

クスコ・アルは、富野喜幸著の小説『機動戦士ガンダムII』に登場するキャラクターで、モビルアーマー「エルメス」の専属パイロットとして知られています。アニメやゲームにおいては、声を榊原良子が担当しています。彼女は、栗色の髪を持つキャラクターとして描かれていますが、ゲーム版ではピンク色に表現されていることがあります。クスコは、同じパイロットであるララァ・スンよりも優れたパイロットであり、ニュータイプとしての特異な能力も持ち合わせていると言われています。

幼少期の背景

彼女の過去には、複雑な悲劇が内包されています。幼いころ、クスコは父親からバイオリンを習い、特に「G線上のアリア」を演奏することに取り組んでいましたが、左手小指のフィンガリングが甘く、半音のずれが見られたとされています。このような音楽の経験とは裏腹に、彼女の家族は地球連邦軍兵士によって虐殺され、さらにクスコ自身も性的暴行を受けた可能性が示唆されています。

劇中での活躍

物語の中では、クスコは「カセッタIII」という船に乗って貨物の運搬を行っていました。一年戦争の終盤、彼女はデュエルを果たすことになります。テキサス・コロニーでララァ・スンが操縦するエルメスと激しい戦闘を繰り広げる中、アムロ・レイを救助する場面が描かれています。アムロが機密情報を保持するために自らの機体を破壊しようとした際、クスコは彼を「坊や」と呼びながらも協力的な姿勢を見せました。また、カセッタIIIの船長からの問いに対して、アムロと親密な状況にあったと主張するなど、彼女の戦いの中での立ち位置は非常に興味深いものです。

その後、クスコはシャア・アズナブルが編成したニュータイプ部隊に配属されることになります。彼女は中尉という階級を持ち、シャアの部隊のリック・ドムを単独で殲滅するという驚異的なパイロットとしての能力を発揮しました。この戦闘によってクスコはその卓越した技術を世に知らしめます。

戦術的接触と最期

続く戦闘では、彼女は地球連邦軍のニュータイプ部隊と接触を持ち、グラナダ攻防戦の初接触では短期間でサラミス級巡洋艦2隻を沈める戦果を挙げますが、アムロのガンダムに僅かな傷を負わせられる結果となります。その後、小惑星帯「コレヒドール暗礁」の戦闘でクスコはアムロに撃墜され、そこで彼女の生涯は幕を閉じます。アムロは彼女の過去をふと思い起こし、彼女が抱えていた苦悩や恐怖を垣間見ることとなります。

その他の活動

クスコ・アルは、『MSV』にもエルメス2号機のパイロットとして登場することが確認されていますが、その詳細については記録が残っていません。また、『ガンダム記録全集』のトミノメモによれば、クスコは当初、デギン・ザビの秘書としての登場が予定されていましたが、そのストーリーは実現しませんでした。彼女の存在とその運命は、多くのファンにとって謎に包まれたままとなっています。

もう一度検索