クスュストス

クスュストス：古代ギリシアの屋根付き運動場

クスュストス（ギリシア語: ξυστοs）は、古代ギリシアの建築において、ギュムナシオン（体育場）に付随する屋根付きのポルチコを指す言葉です。屋外での運動が天候に左右されることなく行えるよう、雨天時や冬季のトレーニング施設として利用されました。

語源と意味の変遷

クスュストスという言葉は、時代や地域によって意味合いが変化しています。古代ローマ時代には、ポルチコの前にある庭園内の歩道や、並木道の遊歩道を指す言葉としても用いられました。現代英語では、主に「Xystus」と表記されますが、「Xyst」という綴りも存在します。また、ラテン語には「xystus」の活用形である「xystum」がありますが、現代英語では異なる意味で使用されています。

クスュストスの例

歴史的な記録や遺跡から、いくつかのクスュストスの例が確認されています。

エルサレムのクスュストス: ヘロデ大王の時代に建設されたとされるクスュストスが存在しました。
エーリスのクスュストス: 古代オリンピックが開催されたエーリスには、古代ギリシア最大のギュムナシオンがありました。オリンピックの選手たちは、競技に先立ち、このクスュストスで1ヶ月間のトレーニングを行う必要がありました。これは、選手たちが最高の状態で競技に臨むための重要な準備期間でした。

ギュムナシオンにおけるクスュストスの役割

ギュムナシオンは、古代ギリシアにおいて、若者たちの教育と身体訓練の場として重要な役割を果たしていました。クスュストスは、そのギュムナシオンの一部として、天候に左右されずに運動やトレーニングが行える屋根付きの空間を提供することで、若者たちの育成に貢献しました。

現代におけるクスュストスの意義

現代においては、クスュストスのような屋根付きの運動施設は、体育館やトレーニングセンターとして広く利用されています。古代ギリシアのクスュストスは、現代のスポーツ施設の原型とも言える存在であり、その概念は現代にも受け継がれています。

参考文献

Curl, James Stevens (2006). “xystus” (Paperback). A Dictionary of Architecture and Landscape Architecture (Second ed.). Oxford University Press. ISBN 0-19-860678-8.
Gottheil, Richard; Krauss, Samuel (1906). "Xystus". In Singer, Isidore; et al. (eds.). The Jewish Encyclopedia. New York: Funk & Wagnalls.
Smith, William, ed. (1854). "Elis". Dictionary of Greek and Roman Geography*. Vol. 1. London: John Murray. p. 82.

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