クッキ 〜菊熙〜

クッキ〜菊熙〜：運命に翻弄されたヒロインの物語

1999年9月13日から11月16日まで韓国MBCで放送され、最高視聴率53.1％という驚異的な数字を記録した大ヒットドラマ『クッキ〜菊熙〜』。日本でも衛星劇場、熊本朝日放送、NHK-BS2で放送され、高い人気を博しました。全20話（NHK-BS2では21回）で描かれるのは、日本の統治下にあった朝鮮半島で生まれた女性、ミン・グッキ（クッキ）の波乱に満ちた人生です。

悲劇的な始まりと、運命の歯車

物語は1932年、日本の統治下にあった朝鮮半島黄海道海州から始まります。医師であるクッキの父、ミン・ヨンジェは、妻を亡くしたのち、生まれたばかりの娘クッキと自身の財産を親友であるソン・ジュテに託し、独立運動に参加するため満州へと旅立ちます。しかし、ジュテはヨンジェの信頼を裏切り、財産を横領し、成長したクッキを使用人同然に扱います。さらに、ヨンジェの志とは裏腹に、日本軍との癒着を深めていくのです。

1945年、日本が降伏し、朝鮮半島の解放を迎えます。進学を希望していたクッキはソン夫妻の手によって奉公に出されますが、希望を捨てきれず、海州を飛び出して京城（現在のソウル）に向かいます。そこで、洋菓子屋「大和（テファ）堂」の主人、チャン・テファに拾われ、新たな人生を歩み始めます。

しかし、ヨンジェは愛娘に会うため故郷へと戻ろうとしますが、悪事を隠蔽しようとしたジュテは、日本軍憲兵隊隊長である中村一郎と手を組み、ヨンジェを暗殺します。ソン一家は横領した財産を質屋のキム・マンボクに売り払い、ソウルへと逃亡します。

解放後、故郷に戻り父に会おうとしたクッキでしたが、叶わず、テファ堂に戻って菓子職人の修行に励みます。

再会と、新たな試練

13年の歳月が流れ、1958年。テファ堂の後継者として店を切り盛りするクッキは、ソン一家、そして幼い頃兄のように慕っていたキム・サンフン（キム・マンボクの息子）と再会します。同時に、ヨンジェの部下であったチェ・ミングォンが、クッキの行方を必死に探しており、ついに再会を果たします。

平穏な日々を送っていたクッキは、過去の因縁と新たな試練に巻き込まれていきます。クッキの心の支えとなり、惹かれていくミングォン、クッキを慕い求婚するサンフン、そして、クッキの幼馴染で人気歌手となったソン・シニョン（ジュテの娘）。様々な人間関係が複雑に絡み合い、クッキの運命はさらに波乱の渦へと進んでいくのです。

主な登場人物

ミン・グッキ（クッキ）：このドラマの主人公。過酷な運命に翻弄されながらも、前向きな姿勢を貫き、運命に立ち向かう強い女性。父との約束「国を豊かにできる仕事をする」と、テファの教え「食品は自分の家族に食べさせるつもりで作らねばならない」を胸に、菓子作りに情熱を注ぎます。
ソン・シニョン（エレーナ）：クッキの幼馴染で、人気歌手。クッキとは複雑な過去を持ちながらも、大人になってからは親友となります。
チェ・ミングォン：ヨンジェの部下で、クッキを密かに想う。クッキの心の支えとなり、大きな存在となります。
キム・サンフン：クッキの幼馴染で、クッキを慕う。複雑な過去を持ちながらも、クッキを支える存在となります。
ミン・ヨンジェ：クッキの父。高潔な人柄で独立運動家の間で尊敬されていた医師。
ソン・ジュテ（チュテ）：ヨンジェの親友でありながら、裏切り者。目的のためには手段を選ばない冷酷な人物。
チャン・テファ：テファ堂の主人。クッキを娘のように愛し、職人としての心構えを教えた温かい人物。
キム・マンボク：サンフンの父。高利貸しだが、心根は優しい人物。

歴史と人間ドラマの融合

『クッキ〜菊熙〜』は、単なる恋愛ドラマではなく、日本の統治下にあった朝鮮半島という歴史的背景と、そこで生きる人々の複雑な感情、運命、葛藤を深く掘り下げた作品です。クッキの成長と、彼女を取り巻く人々のドラマを通じて、激動の時代を生きた人々の強さと優しさ、そして人間の尊厳が描かれています。最高視聴率53.1％という記録が示すように、多くの韓国国民の心を掴んだ、記憶に残る名作ドラマと言えるでしょう。

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