クトゥルフの呼び声 (TRPG)

『クトゥルフの呼び声』の概要

『クトゥルフの呼び声』（Call of Cthulhu）は、アメリカのゲーム会社ケイオシアム社が1981年にリリースしたテーブルトークRPG（TRPG）です。このゲームは、H・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話の世界観を基にしたホラー要素を特徴としており、プレイヤーは調査員として超常的な存在や恐怖に立ち向かうことになります。最初のリリースから数回のバージョンアップが行われ、最も最近の第7版は2014年に発売され、日本語版は2019年に登場しました。略称はCoCです。

日本における導入と商標登録

日本市場においては、1986年からホビージャパンにより第2版や第5版の翻訳が行われ、その後2003年からはKADOKAWAが新タイトルで展開しています。特に「クトゥルフの呼び声」というタイトルは1993年にホビージャパンによる商標登録がなされ、以後同社がこの商標を保持しています。これに伴い、アークライト社が翻訳権を取得した際には新たにタイトルが改編され、市場に再登場することとなりました。

システムとルール

『クトゥルフの呼び声』の進行は「キーパー」と呼ばれる役割のプレイヤーによって行われ、彼らは探索者たちの冒険を導きます。ゲームシステムには、ベーシック・ロールプレイング（BRP）を採用しており、キャラクターは職業テンプレートを基に技能ポイントを配分することでカスタマイズされます。また、行動判定はD100を用いた下方ロールが基本とされています。

このゲームの特徴的なルールとして「正気度」があり、プレイヤーキャラクターは恐怖の体験を通じて精神的な影響を受けることがあります。正気度ポイントは、プレイヤーキャラクターの抵抗力を示し、ショッキングな出来事によって減少します。正気度が低下することでキャラクターは「発狂」し、一時的或いは不定の狂気に陥ることもあります。

世界観の設定と時代背景

『クトゥルフの呼び声』は、主に1920年代の狂乱の時代を舞台に設定されています。この時期は、ラヴクラフトの小説の多くが描かれているため、この背景は非常に重要ですが、プレイヤーは他の時代や場所での冒険も行える柔軟性が特徴です。ルールブックには1890年代、1920年代、現代のシナリオが対応しており、シナリオの舞台を選ぶことで探索者を作成する際の選択肢が増えます。

サプリメントと派生作品

このゲームの世界観は非常に幅広く、追加ルールや情報が載ったサプリメントが多く存在します。これにより、プレイヤーはローマ時代、日本の戦国時代、ヴィクトリア朝時代など、さまざまな時代や地域でのセッションを楽しむことが可能となります。また、海外ではクトゥルフ神話TRPGを基にした多くの派生作品やスピンオフも市場に登場しています。

日本での受容と人気の変遷

日本において『クトゥルフの呼び声』は、当初はホラーゲームとしてだけでなく、近現代を舞台にしたTRPGとしても高い人気を誇りました。1980年代に初めて登場した際、20世紀を舞台にしたゲームの選択肢は主流から外れていましたが、そのユニークなテーマが徐々に受け入れられ、2000年代以降では「TRPG冬の時代」を経て人気を回復しました。オンラインセッションの普及やリプレイ動画の流行が重なり、現在では多くのプレイヤーがこのゲームを通じてクトゥルフ神話に触れる機会が増えています。

まとめ

『クトゥルフの呼び声』は、神話的かつホラーな要素でプレイヤーの想像力を掻き立て、長年にわたり愛され続けているテーブルトークRPGです。進化を続けるそのシステムとルール、そして多様な設定は、今後も新たなファンを惹きつける要因となるでしょう。

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