クビアカサシガメ

クビアカサシガメ（Reduvius humeralis）

クビアカサシガメ（学名：Reduvius humeralis）は、カメムシ目に属するサシガメ科の一種です。その名の通り、首のように見える前胸部の一部が赤く彩られることが特徴で、全体的に黒っぽい体色との対比が目を引きます。

特徴

本種は、成虫の体長が約13ミリメートルから16ミリメートルに達します。全身は光沢のない、つや消しの黒色で覆われており、その表面には長く繊細な、柔らかい毛が密やかに生え茂っています。この毛深さが、本種の独特な質感を与えています。

色彩面での最大の特徴は、前胸（ prothorax）の背面の後半部分が暗い赤色を呈することです。この赤色の領域の中央には、黒い横帯が一本走っています。また、前翅の革質部（corium）の基部近くも同様に暗い赤色に染まっており、これらの赤色が黒い体色の中で際立っています。

習性

クビアカサシガメは樹上性の昆虫であり、主にクヌギやコナラといった広葉樹の樹上に生息しています。彼らは肉食性で、樹上で活動する他の昆虫、特にチョウやガの幼虫などを積極的に捕食します。長い口吻（サシ）を獲物に突き刺して体液を吸う捕食者です。

樹上での生活に適応しており、よく飛翔する能力も持っています。これにより、生息する樹間を移動したり、新たな狩場を探したりすることが可能です。

分布

クビアカサシガメは、日本の本州、四国、九州の主要3島に加え、対馬や奄美大島といった島嶼部からもその生息が確認されています。

かつては、南西諸島全域や遠く台湾にも分布すると考えられていた時期がありましたが、その後の詳細な調査によって分布域に関する知見は更新されました。現在では、南西諸島においては奄美大島でのみ確認されており、台湾には分布しないことが明らかになっています。このため、現在では日本固有種である可能性が高いと見られています。

出典

この記述は、以下の文献に基づいています。（文献情報の記載は省略します）

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