クピドの悪戯

『クピドの悪戯』シリーズ：不思議な出会いを彩る恋愛物語

北崎拓氏による人気漫画シリーズ『クピドの悪戯』は、数々の雑誌で連載されたオムニバス形式の恋愛漫画作品群です。不思議な出来事がきっかけとなり、男女（必ずしも異性同士とは限りません）が出会い、恋に落ちていく様を描いた作品は、独特の世界観と魅力的なキャラクターで多くの読者を虜にしてきました。

シリーズの始まりと展開

シリーズの始まりは2004年、読み切り作品「虹玉ポンチ」でした。その後、『週刊ヤングサンデー』とその増刊号で「虹玉」「さくらんぼシンドローム」「虹玉ボンボン」と作品を発表。しかし、同誌休刊後も、『週刊ビッグコミックスピリッツ』とその増刊号に移籍し、「オレ×ヨメ」「逆襲のオレ×ヨメ」「このSを、見よ!」と作品を発表し続けました。さらに、『月刊ヤングキングアワーズGH』での「クピドの悪戯 惑いのレイコ」や『週刊漫画ゴラク』での「秘匿夫婦〜クピドの悪戯〜」といった作品もシリーズに加わっています。

2021年時点では、連載作品8作、読み切り作品2作、そしてシリーズ以前の作品1作（特別編としてシリーズに組み込まれた「サイキック デュオ」）を含む計10作品が発表されています。

作品の特徴と共通点

『クピドの悪戯』シリーズ作品は、いずれも恋愛描写が中心ですが、その出会いのきっかけにSF的な要素や奇抜な設定が取り入れられている点が大きな特徴です。この「ちょっと不思議な」出会いを、シリーズの定義として作者自身も挙げています。各巻の裏表紙には「この時代、恋の神様クピド(Cupid)が悪戯心で選んだ男女に起こる恋の物語。」というキャッチコピーが記されています。

初期の作品（1作目から6作目）には、共通した特徴も見られます。多くの作品で男性主人公1人と女性ヒロイン2人が主な登場人物であり、主人公には「むっちゃん」というあだ名、「麻」の文字を含む名前のヒロイン、「令」を含む名前のヒロインといった共通点が見られました。また、眼鏡をかけ厚い唇をした女性、仙堂寺が狂言回しとして登場し、「クピドの悪戯」を解説する役割を担っています。ただし、6作目以降はこれらの共通点は必ずしも維持されていません。

代表的な作品

シリーズを代表する作品として以下が挙げられます。

『クピドの悪戯 虹玉』: シリーズの出発点となった作品。
『さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II』: 長期連載作品であり、シリーズの中でも特に人気が高い。
『オレ×ヨメ クピドの悪戯』: 短期連載作品ながら、独特の展開が話題となった。
『このSを、見よ! クピドの悪戯』: 長期連載作品で、シリーズ全体の集大成的な要素も含まれている。

書誌情報

シリーズ作品は、小学館の『ヤングサンデーコミックス』および『ビッグコミックス』、少年画報社の『ヤングキングコミックス』より単行本が発売されています。各作品は複数巻にわたるシリーズものと、読み切り作品が収録されている単行本も存在します。

まとめ

『クピドの悪戯』シリーズは、恋愛漫画でありながら、そこに織り込まれた独特の要素や設定が魅力的な作品群です。各作品は独立した物語でありながらも、全体を通して共通したテーマや世界観を感じることができます。多くの読者を魅了してきたこのシリーズは、今後も新たな展開が期待されます。

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