クモノハナ

クモノハナの競走馬としての軌跡

クモノハナは、日本の競走馬としてその名を広めた存在であり、1950年に皐月賞と東京優駿（日本ダービー）のクラシック二冠を達成しました。この年、彼は秋の菊花賞にも出走し、史上2頭目のクラシック三冠を狙いましたが、ハイレコードという競走馬に破れ三冠は逃しました。クモノハナは、1949年の競走馬生産停止の影響を受けて、当時最後のダービー馬となる6頭目の馬でした。

経歴の始まり

彼は1949年に小岩井農場で行われた最後の競り市で競り落とされました。馬主である北竹清剛はダービーを勝つことを切に願っており、それに応じた調教師鈴木勝太郎が競り落としました。クモノハナは、父に戦前から活躍馬を多数輩出したプリメロを持つ血統で、祖母は帝室御賞典を制したロビンオー（繁殖名マンナ）です。充実した血脈に加え、彼の体格の良さから、この競りでは高額馬となりました。しかし、彼には脚の曲がり具合や不揃いな蹄といった欠点があり、それが影響して騎手選びに苦労しました。

デビューは1950年で、初戦は3着とまずまずの結果だったものの、2戦目では最下位となり、その後も連敗を重ねました。しかし、彼は8戦目で初勝利を挙げ、日本のダービー史上初勝利までの出走数の最多記録を樹立しました。

クラシック制覇への道

初勝利の後、クモノハナは2戦で3着と2着を獲得し、5月には皐月賞に出走しました。このレースでは不良馬場が影響し、4番人気ながらも4馬身差で優勝しました。騎手の橋本輝雄も「彼は重馬場が得意で、驚くような勝ち方をした」と回想しています。

次のレース、日本ダービーでは雨天の不良馬場で、26頭が出走する大混戦の中、クモノハナは1番人気としての期待を背負っていました。レースが始まると、彼は先行集団の中で進み、最終コーナーで抜け出したところを捉え、勝利を手にしました。この勝利は、1941年のセントライト以来の皐月賞・日本ダービー連覇を果たす瞬間でした。

彼の勝利は、前夜にNHKのラジオ番組で勝利を予告していた橋本騎手の言葉が重なり、競馬法上では問題が無かった当時の状況も注目されました。橋本は、勝たなければ間違いなく大恥をかくところだったと後悔を語りました。

菊花賞とその後

夏の休養を経て9月に復帰したクモノハナは、その後のレースでも成果を残しましたが、10月には菊花賞に出走しました。このレースは三冠の懸かる大一番でしたが、最終的にハイレコードに頭差で敗れてしまいました。その際、彼は先頭に立った瞬間、勝ったと感じていたと橋本は振り返り、競走を制することができないとは当時は思わなかったとコメントしています。

菊花賞以降、彼は一般レースやハンデキャップ競走で成績を残し、1950年の秋には競走生活を終えました。引退後は軽種馬農協に買い上げられ、種牡馬としての新たな役割を担うことになりますが、その後の産駒は目立った成績を残すことがありませんでした。1959年には廃用となり、その後の消息は不明です。

競走成績と血統

彼の血統は戦前から戦後期においても大種牡馬として知られる優れた系統であり、数々の名馬を持つ背景を持っています。クモノハナの全妹や近親においても日本競馬の名馬たちが名を連ね、その遺伝的な優れた特質は今もなお語り継がれています。

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